10 月号ピックアップ記事 /私の座右銘
無私の志 柴橋正直(岐阜市長)
各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、トップとして貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。今回ご登場いただいたのは、国内に62か所ある中核市(23年8月末現在)の一つであり、県庁所在地でもある岐阜市の長を若くして務める柴橋正直さんです。
現在2期目を迎えているその歩みは一見順風満帆ですが、銀行を辞めて政界に飛び込んだ二十代に5年間、三十代で5年間の計10年、政治家としての職を失う浪人期間を味わわれています。試練の多い政界に生きて見えてきたもの、抱いてきた座右の銘について、熱を込めてお話しいただいています。
私がなぜ何度失敗しても折れなかったかと言えば、己の人生の目的、志を掴んでいたからです
柴橋正直
岐阜市長
自分はどう生きるべきか――こう自問自答を繰り返し、人生を見つめることが、十代の頃から体に染みついた習慣でした。
私は就職氷河期真っただ中の2002年、大阪大学を卒業し、世の中小企業の成長に貢献しよう、とささやかな志を胸に合併間もないUFJ銀行に就職しました。ところが現場に出てすぐ、小泉政権の主導で巨額の不良債権処理を目的とする金融再生プログラムが発令。融資を必要とする、本来守り育てるべきお客様からの融資の相談をお断りするなど、志とは真逆の仕事を強いられました。
そうした金融行政との強烈な葛藤の中、大学時代に寮友がご縁を繋いでくれた小沢一郎先生の政治塾で学び、被選挙権を得た25歳が、人生の岐路でした。
これではいくら努力しても世の中の、国家の役には立てない。物事を決める側に入らなければ……予て応援してくれていた上司の理解を得て銀行に退職願を提出し、政界へ飛び込んだのは2004年のことでした。
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プロフィール
柴橋正直
しばはし・まさなお――昭和54年京都府生まれ、岐阜県育ち。平成14年大阪大学卒業後、UFJ銀行入行。翌年小沢一郎政治塾に3期生として入塾、16年銀行を辞して政界へ。17年26歳で第44回衆議院議員総選挙に民主党公認で岐阜一区から初出馬も落選。4年の浪人を経て第45回総選挙で初当選。24年落選、翌年離党し岐阜市長選に無所属で立候補し落選。再び浪人を経て30年初当選。令和4年再選し2期目
編集後記
40代半ばと若くして岐阜市政に奔走する柴橋正直市長。本欄では人生の根を養った父母の教え、10年に及ぶ浪人生活のただ中での気づき、市内で起きたある事故への痛恨の念と取り組みについて熱弁をふるっていただいています。
---目次---
◆「あなたの若い日にあなたの創造者を覚えよ」
◆十年の浪人生活が授けてくれた恵み
◆失われた若い命を必ず市と国の未来に生かす
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