10 月号ピックアップ記事 /第一線で活躍する女性
人は誰かの支えがあれば必ずやり直すことができる 廣瀬伸恵(大伸ワークサポート社長)
毎号分野を問わず、人生を真剣に生き、一隅を照らしている女性にフォーカスする人気連載「第一線で活躍する女性」。創刊当初より読者の皆様からの高い人気を得ている人気連載です。
今月は、出所者雇用を積極的に行う大伸ワークサポート社長・廣瀬伸恵さんにご登場いただきました。多発するトラブルに見舞われながらも、なぜ廣瀬さんは出所者雇用を続けるのか。その背景にある自身の過去、出所者を更生に導く秘訣についてお話しいただきました。
「私は決して見捨てたり、見放したりしません! 私自身もやり直すことができたのだから、人は誰かの支えで必ずやり直すことができるのです」
この言葉こそが信条であり、活動を通じて伝えたい思いそのものです
廣瀬伸恵
大伸ワークサポート社長
(撮影:中川カンゴロー)
─廣瀬さんは出所者を多く雇用されているそうですね。
〈廣瀬〉
私たち大伸ワークサポートは栃木県栃木市に拠点を置き、土木工事や建造物の解体工事業を請け負う建築会社です。約40名の社員のうち7~8割が刑務所や少年院での服役経験者で、薬物の売買や傷害、詐欺など犯罪歴は千差万別です。2018年には協力雇用主(犯罪歴を抱える人を積極的に雇用して再出発を助ける民間事業主)に登録し、これまで80人以上の出所者を雇用してきました。
悲しいことに前科者を受け入れる会社はまだまだ少なく、更生を志すも社会から拒絶された結果、再び犯罪に手を染めるケースが後を絶ちません。実際、日本の再犯率は約5割と非常に高くなっています。そういった人たちの受け皿になれればという一心で活動を続け、いまでは出所者の駆け込み寺のようになっています。
─出所者を雇い入れるのはご苦労も多いのでは?
〈廣瀬〉
トラブルは日常茶飯事で、まさに涙あり、裏切りありの毎日です。社員が突然逮捕されたり、暴力団の恨みを買い、自宅の窓ガラスを割られたこともあります。私が菓子折りを持って謝罪に駆けつけるような事件が一週間に一度のペースで起こるほどです。
それでも、私たちは営利企業としてしっかり業績を上げることができています……(続きは本誌にて)
プロフィール
廣瀬伸恵
ひろせ・のぶえ――昭和53年栃木県生まれ。平成8年18歳の時にレディース暴走族「魔罹啞」を結成、初代総長になる。覚醒剤の売人として2度服役。29歳での獄中出産を機に更生し、22年大伸興業設立、24年大伸ワークサポート創業。30年刑務所の出所者を雇い入れる協力雇用主に登録。これまで80人以上の出所者を雇用している。
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