人間力を高める学び 「人間学」とは何か

人間が人間になるための学びを「成人の学」といいますが、この「成人の学」には二つの学があると言われています。
その一つが「人間学」で、もう一つの学びを「時務学」と言います。

人を愛する、人を尊敬する、忍耐する、正直、勤勉、誠実、恩を感じて恩に報いる……

こうした、人が本来備えている徳性を養っていくための学問を「人間学」と言います。
この徳性は学んで養っていかなければ、発揮されません。
つまり、「人間学」とは、徳性を養うための学問を意味します。

もう一つ、人間にとって大切な学問が「時務学」です。
「時務学」とは知識・技能を養う学問のことを言います。
人間が今日まで文化、文明を発達させてきたのは知識・技能があったからです。
時代に応じて、人は飛行機によって空を飛び、地上に新幹線を走らせ、潜水艦で海の中を移動できるようになりました。
様々な技術革新をしてこられたのは、全て人間の知識・技能によるものです。
こうした意味から、人間にとって知識・技能は非常に大事なものであるといえます。

しかし、あらゆるものには本末があります。
東洋古典の『大学』という本には、

「その本乱れて末治まるものはあらず」

という言葉があります。
この成人の学にとって、「本学」というのは、徳性を養う学問、つまり「人間学」が「本学」であって、知識・技能を養う学問が「末学」であると言います。
いくら知識・技能を多く学んでも、この「本」となる徳性を養う学問を全然学ばなければ、世の中は成り立っていかないということを『大学』という本は2,500年も前から言っているのです。