4つの不変の真理
いま、時代は目まぐるしく変化しています。
こういう時代に生きていると、絶対に変わらない不変の真理などないように思えてきます。
しかし、いかに時代が変化しようとも、絶対に変わらない不変の真理は厳然としてあります。
いろいろないい方ができますが、ここでは4つのことを挙げます。
一つは、「人間は必ず死ぬ」ということです。
この世に生まれて死なない人は一人もいません。生者は必ず滅します。
宇宙が始まって以来の絶対不変の真理です。
二つ目は、「自分の人生は自分しか生きられない」ということです。
子供が病気になり苦しんでいる時、親は代わってやりたいと思います。
しかし、その子の人生はその子にしか生きることができません。
人生に代役はないのです。
第三は、「人生は一回限りである」ということ。
人生は繰り返すことができません。人生にリハーサルはありません。
幕末の儒者、佐藤一斎は
「百年再生の我なし。それ曠(こう)度(ど)すべけんや(百年後再び生まれてくる自分ではない。
それ故、日々を虚しく生きてはいけない)」
といっています。一斎はその思いを強く持って生きていた人であったから、
後生に残る仕事ができたのだと思います。
第四は、「この悠久の宇宙の中で、
自分という人間は過去にも未来にも一人しかいない」ということです。
これは本当にすごいことです。
150億年前にビッグバンが起こり、40数億年前に地球ができました。
その地球に生命が芽生え、やがて人間が誕生します。
以来、どれほどの人がこの世に生を受け、亡くなっていったか計り知れませんが、
しかし、自分と同じ人間は一人もいなかったし、これからも生まれてこない。
私たちは実に奇跡のような生命を生きています。
「天(てん)上(じょう)天(てん)下(げ)唯(ゆい)我(が)独(どく)尊(そん)」
お釈迦様の言葉は、この事実を示しているのだと思います。
過去にも未来にもたった一つしかない、この尊い命をどう生きるか
──それを学ぶのが人間学です。
古来、先知先達の教えに心を磨き、自らの人格を高め、それを道しるべに、
自分にしか生きられない、一回限りの人生を豊かに生き抜くべく努め励んだ、
たくさんの人がいます。
私たちもそういうすぐれた先人たちの生き方に学び、
このたった一つの尊い命を輝かせたいと思います。