10 月号ピックアップ記事 /エッセイ
歴代天皇の御製に込められた祈り 小柳志乃夫(国民文化研究会理事長)
初代の神武天皇以来、皇紀2683年、126代にわたり続いてきた日本の皇統。
歴代天皇が詠まれた御製には、我が国が直面してきた様々な歴史的局面と共に、国民に対する深い思いが込められている。
この度弊社より上梓される『歴代天皇の御製集』の編纂に携わった小柳志乃夫氏に、貴い御製が私たちに語りかけるものを繙いていただいた。
御製を通して、お一人お一人が歴代天皇のお心に触れる出逢いを経験していただきたいと私は願っています
小柳志乃夫
国民文化研究会理事長
『致知』でもお馴染みの渡部昇一先生は、日本は「和歌の前の平等」が成り立つ稀有なる国であったと指摘されています。
天皇から庶民まで身分、男女、貧富など一切の区分なく作品が収録されている『万葉集』などからも窺えるように、我が国では古来、天皇も国民も和歌をつくり、互いに心を通わせてきました。
我が国における天皇統治の伝統は、国民を支配することではありません。国民の喜びや悲しみを我が事のように感じ取り、その幸せを祈り続けてこられたご存在が天皇です。
そして私たちは、歴代の天皇の御製(御歌)に込められたお心を通じて、我が国の歩んできた道や国柄を知ることができるのです。
プロフィール
小柳志乃夫
こやなぎ・しのぶ――昭和30年福岡県生まれ。54年東京大学法学部卒業、日本興業銀行入行。みずほコーポレート銀行資本市場部長、関係会社役員などを歴任。令和3年より公益社団法人国民文化研究会の理事長を務める。
編集後記
我が国は古来、天皇も国民も和歌をつくり、互いに心を通わせてきた稀有な国です。その歴史・文化の継承活動に力を注ぐ国民文化研究会理事長の小柳志乃夫さんのお話を通して、歴代天皇の御製を読み解くことで浮かび上がってくる日本を日本たらしめている精神性の原点を学びます。
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