童謡と唱歌が日本の明るい未来を拓く 海沼 実(日本童謡学会理事長)

かつて学校で、家庭で、地域で当たり前のように歌い継がれていた童謡と唱歌。しかし近年では、ほとんど耳にすることがなくなってしまいました。「童謡のかみさま」と称された童謡作曲家・海沼實氏の孫として生まれ、童謡と唱歌の素晴らしさを広く世間に発信してきた日本童謡学会理事長・海沼実氏に、なぜいま童謡と唱歌を歌うことが重要なのか、その歴史と教育的効果について語っていただきました。(写真提供:海沼氏)

幼い頃から童謡や唱歌に親しみ、日本人が古くから大事にしてきた歴史や文化伝統、風景、倫理道徳、あるいは家族の関係などを土台として養っていけば、それがその後の人生を生き抜く正中線となり、様々な課題を乗り越えていく力になることでしょう

海沼 実
日本童謡学会理事長

童謡や唱歌と聞くと、皆さんはどのような作品を思い浮かべるでしょうか。

『蛍の光』『ふじの山』『赤い靴』『十五夜お月さん』『かもめの水兵さん』『みかんの花咲く丘』『里の秋』……。

ああ、この歌は学校で教わった、子供の頃に祖父母や両親がよく歌ってくれていた、テレビやラジオでいつも流れていた、あるいは懐かしくていまでも時々口ずさんでいる、という方も多いことでしょう。

しかし戦後、童謡や唱歌は次第に歌われなくなり、いまや童謡や唱歌を知らないという世代のほうが多くなっているのが現実です。

このままでは、かつて親から子へ、子から孫へ、当たり前に歌い継がれていた童謡や唱歌はなくなってしまいます。後に詳述しますが、それは日本のあり方、子供たちの未来に関わってくる大きな問題だと私は考えているのです。

プロフィール

海沼 実

かいぬま・みのる――昭和47年東京都生まれ。幼少期から祖父・海沼實が創設した合唱団「音羽ゆりかご会」で童謡や唱歌を数多く歌唱。明治大学文学部卒業。NHKラジオ「ラジオ深夜便」に出演。新聞コラムの執筆、講演の他、音楽指導者の育成にも携わる。日本歌手協会監事、日本ペンクラブ会員。平成30年より現職。著書に『海沼実の唱歌 童謡読み聞かせ1、2』(東京新聞出版局)などがある。


2023年9月1日 発行/ 10 月号

特集 出逢いの人間学

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