四書五経に学ぶ人間学 春秋(春秋左氏伝)

孔子の編纂と伝えられる歴史書『春秋』の代表的な注釈書の一つ。三十巻。作者は魯の左丘明であると言われているが定かではない。『春秋公羊伝』『春秋穀梁伝』と併せて春秋三伝という。前漢末期の劉歆のとき初めて世に出た。他の二伝に比して、史実を忠実に伝えている。


驕(おご)りて亡びざる者は、未だ之あらざるなし

(驕りたかぶって亡びなかった者は、いまだかつていない)

己を修めて人を責めざれば、則(すなわ)ち難より免(まぬか)る

(ひたすら自分を磨くことに努め、人の過失をとがめない。これを心掛ければ、危難を免れることができる)

禍福は門なし。唯(た)だ人の召(まね)く所なり

(幸不幸は決まった門があって入ってくるわけではない。みな人が招き寄せるのである)

国家を為(おさ)むる者は、悪を見ること農夫の務めて草を去るが如(ごと)くす

(国の政治にあたる者は、悪事を見たら農夫が雑草を抜くように取り除かなければならない)

国の将(まさ)に亡びんとするや、本(もと)必ず先ず顛(たお)れ、而(しか)る後に枝葉(しよう)これに従う

(国が滅びるときには、まず国のよって立つ根幹である道義が廃れ、そこから枝葉も枯れていく)

三たび肱(ひじ)を折りて、良医たるを知る

(自分のひじを三回折るような経験をして、初めて医者は良医になることができる)