脳が求める生き方——さらに前進する人の思考はどこが違うのか 林 成之(スポーツ脳科学者)

潜在能力。一度は耳にしたことのある言葉だが、その意味は掴みがたい部分がある。しかし脳神経外科医として医学の進歩に貢献し、脳科学をスポーツ指導に活用して五輪選手らの快挙を御膳立てしてきた林成之氏はこう語る。「潜在能力は誰もが持つ才能であり、それを高めることはできる」。脳の本能を生かし、限界を超えて前進する秘訣を体験から解き明かしていただく。

「生きたい」
「知りたい」
「仲間になりたい」
「伝えたい」
「自分を守りたい」

これらの美しい本能を生かせば人は素晴らしい力を発揮できます

林 成之
スポーツ脳科学者

脳は、いくつかの〝本能〟を持っています。中でも強い影響力を持つものがこの5つです。

「生きたい」

「知りたい」

「仲間になりたい」

「伝えたい」

「自分を守りたい」

これらの美しい本能を生かせば人は素晴らしい力を発揮できますが、なかなかそうはいきません。なぜなら、5つ目の「自分を守りたい」という自己保存の本能が、往々にして悪さを働くからです。

嘘をつく、失敗を隠す、言い訳をする。メディアを騒がせている政治家たち大人の保身は目に余りますが、小さい子供でも自分を守る言動をします。何かに取り組む際にも目標を小さくさせるため、潜在能力を発揮する機会を奪う、最も厄介な存在と言えます。

この本能を克服するには、脳の特別な仕組みを理解する必要があります。その仕組みとは何か。
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本記事では林成之さんに、自己保存の本能をいかに打ち破るか。潜在能力を発揮する要訣を、五輪選手団をはじめとするトップアスリートや子供たちの学習を支援した実体験から解き明かしていただいています。

~本記事の内容~
■何気ないひと言が潜在能力を爆発させた
■脳の最も厄介な〝5つ目の本能〟
■言葉とは間合いである
■潜在能力の弱点を知る
■さらに前進こそ脳が求める生き方

プロフィール

林 成之

はやし・なりゆき――昭和14年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学大学院博士課程修了。マイアミ大学医学部、同大学救命救急センターに留学。平成3年日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター部長に就任。27年より同大名誉教授。脳低温療法を開発し国際脳低温療法学会会長も務めた。主著に『〈勝負脳〉の鍛え方』(講談社現代新書)などがある。


編集後記

人間の潜在能力はどうすれば発揮されるのか。外科医、また科学者として脳に向き合い、その謎を解明してきた林成之さんの提言に目から鱗が落ちる思いでした。スポーツに限らず、仕事や家庭における言動を見直すことが自他の能力を十全に発揮し、幸せに生きることに繋がるでしょう。

2024年7月1日 発行/ 8 月号

特集 さらに前進

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