「止まったら死ぬぞ!」 終わることのない熱狂宣言 松村厚久(DDグループ社長CEO)

レストランやカフェ、居酒屋をはじめ、多種多様な飲食店を次々立ち上げ、2010年には業界初の「100店舗100業態」を達成した「DDグループ」。同社を徒手空拳で創業し、今日の繁栄を築いてきたのが松村厚久氏である。「飲食業界の革命児」との異名を取る氏の艱難辛苦の歩みから、道なき道を拓いていく要諦、逆境の乗り越え方を探る。

神様は乗り越えられない試練は与えない。だから、立ち止まっては駄目なんです。

どんなに辛く苦しくても、「止まったら死ぬぞ!」という覚悟で必死にもがき、前進し続ける。

そうすれば、いつか必ず報われる日が来る

松村厚久
DDグループ社長CEO

――松村さんは従来のチェーン展開とは異なり、多種多様な飲食店を手掛けてこられたそうですね。

〈松村〉 
1995年に創業した私たち「DDグループ」は、主に3つの会社で事業を展開しています。

1つ目の「ダイヤモンドダイニング」は飲食業界初の「100店舗100業態」を成し遂げた、当社の根幹と言えます。気軽に楽しめる大衆居酒屋「わらやき屋」から完全紹介制の「焼鶏しの田」まで、客層やメニュー、サービスも一つひとつ異なる飲食店とアミューズメント店を数多く手掛け、全国に約300店舗を構えています。

2つ目の「エスエルディー」は2019年に連結子会社となったカフェ運営に強みを持つ会社です。「ポケモンカフェ」やディズニーとのコラボ店など、アニメや映画を活用した店舗プロデュース・運営受託を行ってきました。

そしてM&Aで参画した3つ目の「湘南レーベル」は、神奈川県を中心にホテルやシェアハウスの運営、不動産事業に注力しています。以上のようにコロナ禍という転換期を経て、外食企業から脱皮し、「創造的であり革新的であるブランドを創造するブランドカンパニー」を目指しているんです。

――業界の枠を超えて展開されている。やはり、新型コロナウイルスの影響は大きかったですか。

〈松村〉 
それはもう、大打撃という他ありませんでした。これまでにも当社は私の闘病や東日本大震災など、幾多の逆境に直面してきましたが、今回は世界が一変したようなものですからね……。外食は矢面に立ち、休業や時短を余儀なくされた結果、2021年は90億円の経常損失に陥りました。

ただ……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
▼コロナ禍の逆境を乗り越え これからは快進撃の始まり
▼原点となったサイゼリヤでのアルバイト
▼「こんなところで倒れるわけにはいかない」
▼「100店舗 100業態」をかくして実現した
▼神様は乗り越えられない試練は与えない
 
本記事では全4ページにわたって、「飲食業界の革命児」との異名を取る松村さんの体験談をお話しいただきました。
若年性パーキンソン病を患う逆境に直面しながらも、経営の第一線を走り続ける松村さんの生き方から見えてくる、道なき道を拓いていく要諦――。

2001年、銀座にオープンした「VAMPIRE CAFE」の店内

プロフィール

松村厚久

まつむら・あつひさ――昭和42年生まれ、高知県出身。64年日本大学理工学部卒業後、日拓エンタープライズ入社。日焼けサロン経営を経て、平成13年銀座に「VAMPIRE CAFE」を開業。22年「100店舗100業態」を達成。27年東証一部(現・プライム)上場。同年に発売された小松成美氏のノンフィクション『熱狂宣言』(幻冬社)の中で、若年性パーキンソン病であることを公表。現在も病と向き合いながら、300店以上の飲食店を運営すると共に、アミューズメント事業やホテル・不動産事業を手掛ける。


編集後記

「きょうはわざわざありがとうございます」。6/5(水)、三田の本社に訪ねると、松村さんは社員の方に支えられながら、屈託な笑顔で私たちを迎えてくださいました。パーキンソン病の進行で声が出にくい中でも、懸命に、自らの思い・言葉を紡ぐ姿からは、松村さんの強い信念を感じずにはいられませんでした。

2024年7月1日 発行/ 8 月号

特集 さらに前進

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