技術・信用・資本 丸山福一(丸山靴下代表)

東京・江戸川区の路地裏に佇む自宅兼工場で、メイド・イン・ジャパンのこだわりの靴下をつくり続けている丸山靴下代表の丸山福一氏、90歳。海外の安価な製品が氾濫する時代の中で、氏が貫いてきたものづくりの精神、事業永続の要諦、そしてこれからの世代に伝えたいメッセージを伺った。

やっぱり言われたことだけやっていてはだめ、信用を得るには、「こいつに頼めば間違いない」と思ってもらわなくちゃ

丸山福一
丸山靴下代表

──丸山さんは90歳になるいまもなお生涯現役で現場に立ち、メイド・イン・ジャパンの靴下づくりを貫かれているそうですね。

〈丸山〉
生涯現役でやれれば、それは大したもんだ。私は前々から85歳で辞めるって言っていたんだけれども、仕入先やら販売先やらお得意さんが了承してくれなくてね。ずるずるぐずぐず4、5年経っちゃったんですよ。

でも、90になると、お相手さんの都合を考えていられる状況じゃなくなりました。体は硬くなって、ズボンをはくのだってひと苦労です。

いまは辛いのを通り越して、段取りを組むのも面倒くさくて嫌になっちゃった。だから、今年こそは辞めようと思っている(笑)。

──周りの人が辞めさせてくれないと。それほど丸山さんの靴下は素晴らしいということですね。

〈丸山〉 
靴下屋といっても、私は機械の技術屋なんですよ。お得意さんから「こういう靴下をつくってもらえないか」って企画書が届いたら、編機の選定や工程をいろいろ工夫して実現していくわけです。

例えば、私が苦労してつくったのは、この生地の裏と表を縫いつけた二重編み靴下。保温性にとても優れているので、冷え性の女性や高齢者の方など固定客がついていて、売り場でも「こういう靴下が欲しかったんです」って随分喜ばれています。冬でもこれを履くとカイロ要らずで、寝ている間にもはいている人がいるみたい。

──画期的な靴下なのですね。

〈丸山〉 
それから(自在に伸び縮みする)……(続きは本誌をご覧ください)

~本記事の内容~
▼飽きずに根気よく挑戦する
▼疎開先で聴いた玉音放送
▼父の死で一家を背負う
▼何事にもプラスαの仕事を

プロフィール

丸山福一

まるやま・ふくいち――昭和9年東京生まれ。新制中学を卒業後、靴下メーカー、機械メーカーで研鑽を積む。38歳で独立し、現在の丸山靴下を創業。メイド・イン・ジャパンにこだわった靴下づくりに取り組む。


2024年7月1日 発行/ 8 月号

特集 さらに前進

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