その他の東洋古典の名言 貞観政要

雑史、十巻。唐の呉兢の選。七二〇年以後の成立。太宗と群臣間に行われた政治論議を四十門に分類編集したもの。治国安民の政治理想を主旨とし、帝王学・治道の規範の書として歴代の皇帝・政治家の必読書とされ、日本でも皇室や貴族の間で読まれた。読みは「じょうがんせいよう」


いまだ身正しくして影曲がり、上理(おさ)まりて下乱るる者はあらず

(いまだかつて体がまっすぐ立っているのに影が曲がって映り、君主が立派な政治を行っているのに人民がでたらめであったということはない)

君の明らかなる所以(ゆえん)の者は、兼聴(けんちょう)すればなり。その暗き所以の者は、偏信(へんしん)すればなり

(明君の明君たるゆえんは、広く臣下の意見に耳を傾けることである。また、暗君の暗君たるゆえんは、お気に入りの臣下の言葉だけしか信じないことである)

古(いにしえ)自(よ)り国を失うの主(しゅ)は、皆安きに居りて危うきを忘れ、理に処りて乱を忘るるを為す。能(よ)く長久ならざる所以なり

(昔から国を滅ぼした君主は、いずれも安きにいて危うきを忘れ、治にいて乱を忘れた。これが長く国を維持できなかった理由である)

大事は皆小事より起こる。小事論ぜずんば、大事またまさに救うべからざらんとす

(天下の大事はみな小事から起こる。小事だからといって軽視していると、大事が起きたときにはもう手のつけようがなくなってしまう)

乱代(らんだい)は惟(た)だその才を求めて、その行いを顧みず。太平の時は、必ず才行倶(とも)に兼ぬるを須(ま)ちて、始めて任用すべし

(乱世で登用すべき人材は能力だけを重視して人格を問うことはしない。ただし、治世の世にあっては能力と人格とを兼ね備えた人物を登用しなければならない)

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