その他の東洋古典の名言 為政三部書

元の儒者・張養浩の著。原題は『三事忠告』だが、日本では『為政三部書』として知られる。宰相、法務警察長官、地方長官の任に当たる際の忠告として、それぞれ「廟堂忠告」「風憲忠告」「牧民忠告」の三部で構成される。


室(しつ)已(すで)に焚(や)けて薪(まき)を徙(うつ)し、舟已(すで)に溺(おぼ)れて瓢(ふくべ)を市(か)い、疾(やまい)已に成りて艾(もぐさ)を求むるは、力をつくしてこれを為すと雖(いえど)も及ぶなし

(家が焼け落ちてから燃えた薪を他所へ移そうとしたり、舟が転覆してから浮き具を買おうとしたり、病気が悪くなってから治療のためのもぐさを買おうと努力したところで効果は上がらない)

刑罰を以て治を致すに足らず。これを教えて犯さざらしむるは、治を為すの道これに尚(くわ)うるなし

(刑罰を振りかざしても世の中は治まらない。不法な行為に走らないように教え導くのが最高の政治である)

欺(あざむ)くに忍びざらしむるを上となし、欺く能(あた)わざるはこれに次ぎ、敢(あえ)て欺かざるはまたこれに次ぐ

(上司と部下の関係を三つに分けると、部下を心服させて、この人を騙すに忍びないと思わせるのが上であり、つけ込まれる隙がなく、騙そうにも騙せないのがそれに次ぎ、厳罰をもって臨むので、恐ろしくて騙せないのがそれに次ぐ)

利と義とは、勢(せい)並び処(お)らず。義(ぎ)親しまば則(すなわ)ち利疏(うと)く、利近ければ則ち義遠し

(利と義を両立させるのは難しい。義を守ろうとすれば利から遠ざかり、利を重んじれば義が疎かになる)

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