その他の東洋古典の名言 管子

政治論集。八十六篇のうち、七十六篇が現存。二十四巻。管仲の著とされるが、実際は戦国時代末から漢代にかけて何人もの論文をまとめたもの。政治・経済・文化などが儒家・道家・法家・陰陽家など多くの思想的立場で記述されている。曹操や諸葛孔明に重用されたほか、日本では、黒田官兵衛、二宮尊徳、上杉鷹山、西郷隆盛、山田方谷、渋沢栄一らが影響を受けたといわれる。

人臣(じんしん)たる者は、力を君に尽くさずんば、則(すなわ)ち親信(しんしん)せられず。親信せられずんば、則ち言(げん)聴かれず

(臣下たる者、主君のために全力を尽くさなければ、信頼されない。信頼されなければ、何を言っても聞き入れてもらえない)

倉廩(そうりん)実(み)つれば則(すなわ)ち礼節を知り、衣食足れば則ち栄辱(えいじょく)を知る

(生活が安定して人は初めて礼節をわきまえるようになり、生活が豊かになって初めて栄誉と恥辱のけじめを理解するようになる)

一年の計は穀(こく)を樹(う)うるに如(し)くはなく、十年の計は木を樹うるに如くはなく、終身の計は人を樹うるに如くはなし

(一年で成果を挙げようとするなら、穀物を植えることだ。十年先を考えるなら、木を植えることだ。終身の計を立てるなら、人材を育てることに尽きる)

寧(むし)ろ君子に過(あやま)つも、小人に失するなかれ。君子に過つは、その怨(うら)みたるや浅く、小人に失するは、その禍(わざわい)たるや深し

(君子の処遇に欠けることはあっても、誤って小人を高い地位につけるよりはましである。なぜなら、相手が君子なら、処遇を誤っても深いは怨まないが、小人をなまじ高い地位につけると大きな害を残すからである)

凡(およ)そ国の亡ぶるや、その長ずるものを以てなり。人の自ら失うや、その長ずる所のものを以てなり。故(ゆえ)に善く游(およ)ぐ者は梁池(りょうち)に死し、善く射る者は中野(ちゅうや)に死す

(国はその長所が原因となって滅び、人はその長所があだとなって身を滅ぼす。泳ぎの名人が池で溺れ、弓の達人が弓で殺されるようなものである)

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