その他の東洋古典の名言 孝経

孝道について書かれた経書。日本では、七五七(天平宝字元)年に孝謙天皇が「日本国民たるものは家々に『孝経』一本を蔵して誦習せよ」との詔を発し、日本において広く親しまれる経書となった。

身体(しんたい)髪膚(はっぷ)、之を父母に受く。敢(あ)えて毀傷(きしょう)せざるは、孝の始めなり

(私たちのこの体は髪の毛、皮膚に至るまで父母からいただいたものである。傷つけないように、大切に生きることが親孝行の始めである)

身を立て道を行い、名を後世に揚(あ)げ、以って父母を顕(あら)わすは、孝の終わりなり

(後世の人にたたえられるような立派な人生を送り、どこの子だと言われるような立派な人になってこそ、孝行が終わったといえる)

夫(そ)れ孝は、親に事(つか)うるに始まり、君に事うるに中(ちゅう)し、身を立つるに終る

(孝行とは、まず親に仕えることから始まり、君に仕えることを経て、人格を次第に完成していき、年をとるほど立派な人物になって天寿を全うしたところで終わるものなのだ)

親に事(つか)うる者は、上に居りて驕(おご)らず、下となりて乱れず、醜(しゅう)に在りて争わず

(親を大切にする人は、上司となっても部下を見下さないし、部下としては上司によく仕え、同僚に対して争いをしかけることもない)

君子の上に事(つか)うるや、進んでは忠を尽くさんことを思い、退いては過(あやま)ちを補わんことを思う

(君子が上の者に仕えるときは、与えられた職責を忠実に果たしながら、上の者に過ちがあればそれを補うように努めるのである)

母にはその愛を取りて、君にその敬を取る。これを兼ぬる者は父なり

(母には愛をもって仕え、主君には敬をもって仕える。この双方を兼ねるのが父であるから、父によく接するとは愛敬を尽くすことである)

孝を以て君に事(つか)うれば則(すなわ)ち忠、敬を以て長(ちょう)に事うれば則ち順。忠順失わず、以てその上(かみ)に事う

(孝の心で君に仕えれば、それは忠になり、敬いの心で長上に仕えれば、それは順になる。この忠と順を忘れることなく上に仕えなくてはいけない)

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