その他の東洋古典の名言 韓非子

思想書、二十巻五十五編。紀元前二世紀末にかけて成立。一部は韓非の著とされるが未詳。厳格な法治主義の励行が政治の基礎であると説き、法と術の併用によって君権を強化することを目指した。


巧詐(こうさ)は拙誠(せっせい)に如(し)かず

(巧みに人をだますよりは、たとえ拙くても誠実である方が優っている)

知らずして言うは不智(ふち)なり。知りて言わざるは不忠なり

(知りもしないことをまくしたてるのは智とは言えない。知っていて言わないのは誠実とはいえない)

君はその欲する所を見(あらわ)すなかれ。君、その欲する所を見せば、臣、まさに自ら彫琢(ちょうたく)せん。君はその意を見すなかれ。君、その意を見せば、臣、まさに自ら表異(ひょうい)せん

(君主は自分の好悪を表に出してはならない。好悪を表に出せば臣下は皆それに倣おうとする。君主はうっかり自分の意志を見せてはならない。そんなことをすれば、臣下はうわべだけそれに合わせてくる)

法は貴きに阿(おもね)らず、縄(じょう)は曲がれるに撓(たわ)まず

(法律の条文は相手の地位が高いからといって曲げることはない。線を引く物差しは、相手が曲がっているからといって、それに合わせて曲がることはない)

人主(じんしゅ)は、刑徳(けいとく)を以って臣を制する者なり。今、人に君たる者がその刑徳を釈(す)てて、臣をしてこれを用いしむれば、則(すなわ)ち君は反(かえ)って臣に制せられん

(人の上に立つ者は、刑罰と恩賞によって部下を操る。上に立つ者が刑罰と恩賞を手放して、その実権を部下に任せるようなことがあれば、逆に部下に操られる羽目になる)

姦臣(かんしん)は皆人主の心に順いて、以って親幸(しんこう)の勢(せい)を取らんと欲する者なり。ここを以って主に善する所あらば、臣従いてこれを誉め、主に憎む所あらば、臣因(よ)ってこれを毀(そし)る

(腹黒い臣下は君主の心に取り入って、寵愛を勝ち取ろうとする。だから君主が気に入っているものであれば褒め称え、君主が気に入らないものであれば罵るのである)