その他の東洋古典の名言 伝習録

王陽明の語録を門人がその死後にまとめたもの。『王文成公全書』に収録、三巻。心即理、致良知、知行合一の三綱領を中心に陽明学の大要がつくされている。日本には慶長ごろに伝来し、陽明学の流行とともに種々の和刻本が出された。


未だ知りて行わざる者あらず。知りて行わざるは、只(た)だこれ未だ知らざるなり

(知るということは必ず行うことに結び付くのである。知っていながら行わないのは本当に知ったことにはならない)

知は行(こう)の始め、行は知の成るなり。聖学は只(た)だ一箇(いっこ)の功夫(くふう)。知行(ちこう)は分かちて両事と作(な)すべからず

(知ることは行うことの始めであり、行うことは知ることの完成である。人格の完成を目指す者にとって修行はただ一つ、知ることと行うことを別個のものとみなさない)

それ数頃(すうけい)無源の塘水(とうすい)とならんよりは、数尺有源の井水(せいすい)、生意(せいい)窮(きわ)まらざるものとならんには若(し)かず

(広大な池の淀んだ溜まり水であるよりも、小さくてもこんこんと湧き出る泉である方がよい)

樹(き)を種(う)うる者は必ずその根を培(つちか)い、徳を種うる者は必ずその心を養う。樹の長ずるを欲せば、必ず始生(しせい)の時に於(お)いて、その繁枝(はんし)を刪(けず)れ。徳の盛んなるを欲せば、必ず始学の時に於いて、夫(か)の外好(がいこう)を去れ

(樹を育てようとするなら必ずその根を培養し、徳を育てようとするなら必ずその心を培養しなければならない。樹の成長を願うなら、必ず小さいうちに無駄な枝を刈り払わなければならない。それと同じように、徳を大きく育てようと願うなら、学び始める段階で、外への関心を断ち切らなければならない)

人は須(すべか)らく事上(じじょう)に在って磨錬(まれん)し、功夫(こうふ)を做(な)すべし。乃(すなわ)ち益あり

(人は毎日の生活や仕事の中で自分を磨かなければならない。そうあってこと初めて成果が上がるのである。 ※成語である「事上磨錬」の出典)

人生の大病は只(た)だこれ一(いち)の傲(ごう)の字なり

(人生における最大の病根は傲の一字である)