物来順応 米村敏朗(元警視総監)

各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。
今回ご登場いただいたのは、第87代警視総監を務め、内閣危機管理監、内閣官房参与を歴任、東京2020オリンピック・パラリンピックで危機管理の総責任者を全うされた米村敏朗さんです。 人呼んで危機管理のプロ。警察官として数多の難事件の対応にあたり、国家的な問題にも保身を考えず取り組む米村さんが深く腹に据える言葉とは。

物来順応
——事に臨んで徒(いたずら)に臆(おく)することなく、勇むことなく、正面から受ける心づもり

米村敏朗
元警視総監

今夏のパリ五輪は、いくつかの課題は指摘されたものの、無事閉幕を迎えました。私は先年の東京五輪の組織委員会理事兼チーフ・セキュリティ・オフィサーとして大会の危機管理を統括する立場でしたが、その努力は人の目に触れないものだと実感します。

東京大会では、開催が差し迫った2020年春に新型コロナウイルスのパンデミックが発生。開催延期や無観客での決行、北海道や神奈川など地方に分散した競技会場の運営に伴い、その課題は山積していました。私たちはあらゆる災害・テロを想定し、コースや観客の配置、セキュリティなどについて気の遠くなるような議論と訓練を重ね、大きな失敗なく成功裏に終えることができました。

危機管理がなぜ必要なのか。何の備えもなく切迫した状況に放り込まれれば、正しい選択をすることは困難を極めます。危機管理とは「想像と準備」、これに尽きるのです。



(続きは本誌をご覧ください)

プロフィール

米村敏朗

よねむら・としろう――昭和26年兵庫県生まれ。京都大学卒業後、警察庁入庁。警視庁公安部長などを経て平成20年第87代警視総監。第17・18代内閣危機管理監を経て、内閣官房参与(第2次安倍内閣)。26年東京2020競技大会組織委員会理事、28年同チーフ・セキュリティ・オフィサー。現在は企業の社外取締役などを務め、多岐にわたり活動。


編集後記

米村さんが明かした危機管理の実際と要諦。それはまさに、リーダーたる人物に欠かせない胆力の養い方と言えるものでした。容易に知り得ない、危機管理の現場の体験談に多くを学ばされます。

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