約4,000人の赤ちゃんを取り上げて気づいた「命の真実」 岡野眞規代(助産院いのちね代表理事)

鳥取県智頭町、自然豊かな山陰の里山に〝命の根っこ〟に寄り添うコミュニティが存在する。助産院、デイサービス、診療所、温浴施設、宿泊施設、カフェを展開する「いのちね」。
代表を務める岡野眞規代さんは、日本における自然分娩の神様と称される吉村正氏の薫陶を受け、助産師として50年近くにわたりこれまで約4,000人の赤ちゃんのお産に携わってきた。その中で気づいた命の真実、命と向き合う上で大切なこと、幸せに生きる秘訣とは何か。

私はこれまで助産師の仕事を通して、「命とは光である」ということに気づきました

岡野眞規代
助産院いのちね代表理事

――岡野さんは来年で助産師50年の節目になるそうですね。

〈岡野〉
この仕事しか興味がないと言ったらおかしいですけど、どこかに遊びに行きたいって思うことはなく、自分の命が誰かの役に立っていることが何にも代え難い喜びなんです。いままでずっとその思いでやってきました。例えば、夜中にお産で出向くこともしょっちゅうあって、体力的には確かにしんどいんですけど、そこに有り難さを感じながらいつも仕事をしてきたんです。

これまでお産の現場で働いていたばかりではなくて、教育に携わることもありましたし、智頭に来てからは施設をつくり上げていくことに奔走してきたので、お産の現場からは遠のいています。それでも4,000人近くの新たな命の誕生に携わってきました。

――ああ、4,000人も。

〈岡野〉 
私の助産師人生を語る上で切っても切り離せないのが、恩師である吉村正先生です。吉村先生は1970年代から愛知県岡崎市で吉村医院を営まれ、日本における自然分娩のパイオニアとして活躍された方です。その吉村先生から教わってきたことを私の代で途絶えさせることなく、後輩に繋いでいきたい。それが私の使命でもあると思って取り組んでいます。

振り返ると、……(続きは本誌をご覧ください)

~本記事の内容~
◇お産から看取りまで命の根っこに寄り添う
◇原体験は5~6歳の時に見たテレビドラマ
◇吉村正先生との邂逅を果たすまで
◇「赤ちゃんはピカピカの光の玉だったんだ」
◇お産とは神事であり人類最高の仕事
◇結果よりもプロセス 100%の受容でいまを生きる

本記事では全5ページ(約7,000字)にわたって、岡野眞規代さんのインタビューを掲載しています。

プロフィール

岡野眞規代

おかの・まきよ――大阪府生まれ。昭和50年大阪市立助産婦学院卒業後、助産師としてのスタートを切る。公立病院に14年間勤務し、民間病院の婦長を経て、自然分娩のパイオニアとして知られる吉村正氏との出逢いを機に、平成11年より愛知県岡崎市にある吉村医院「お産の家」婦長を5年間務める。病院出産と自然出産合わせて約4,000名のお産に立ち会う。28年鳥取県智頭町に移住し、令和2年「いのちね」を開設。著書に『メクルメクいのちの秘密』(地湧社)など。


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