命をすこやかに運ぶ 昇 幹夫(日本笑い学会副会長) 市川加代子(自然療法研究家)

人間には誰にも「治る力」が備えられているという。産科医で日本笑い学会副会長の昇幹夫氏と自然療法研究家の市川加代子さんは長年、それぞれの立場で私たちの中に眠っている「治る力」を引き出すことにより多くの病が癒やされていくことを実証してきた。人間の命と向き合ってきたお二人が語る心身を健やかにする人間の生き方とは――。

「あ」は会いたい人に会う。「い」は行きたいところに行く、言いたいことを言う。「う」は歌いたい歌を歌う。「え」は遠慮しない。「お」は面白いことをやる。

この「あいうえお」を自分なりにどうアレンジするかも人生の楽しみじゃないですか

昇 幹夫
日本笑い学会副会長

〈市川〉 
昇先生、きょうは京都の治る力研究所まで足をお運びくださり、ありがとうございます。

〈昇〉
いや、同じ関西で旧知の間柄なのに、なかなか伺えずに恐縮しているくらいです。この際、お互いに先生と呼び合うのはやめませんか。何か病院に縛られているような気持ちになっちゃう(笑)。

〈市川〉 
ではそうしましょう。

〈昇〉
市川さんと対談するに当たって、最初のご縁はいつだったのかと考えていたんですが、2003年の「第1回千百人集会」の時でした。この集会には末期がんから生還した124名の方も参加されていて、「これだけの生還者がいるのか」と医師としてただ驚き、圧倒されるばかりでしたけれども、市川さんもこの会場にいらしたのでしたね。

〈市川〉
ええ。この集会では、私共の療法でがんが治った方5人とスタッフ9人が、主催者の川竹文夫さんと一緒に分科会「今日から始める自然療法」に取り組みました。グランドフィナーレの時、聴衆の中に私も昇さんと共にいたんです。

千百人集会と銘打ってはいますが、実際には2,000人くらいの人がいたのではないかと思います。特に2日目の「治ったコール」は、124人が次々に登壇し、「私はこの乳がんを治しました。治る、治る、治った。おめでとう」などと声高らかに叫ぶんです。それはもう圧巻でした。

自分がなぜ大病をしなくてはいけなかったのか、その時は全く分かりませんでした。

しかし、いまではこの自然療法の効果と素晴らしさを多くの人たちに知らせるために病という体験が与えられたんだ、辛い体験がいまに繋がっているんだということを強く感じています

市川加代子
自然療法研究家

〈昇〉 
この集会を主催した川竹さんご自身が末期がんからの生還者ですよね。

川竹さんはNHKの受信料の集金人からディレクターになられた叩き上げの方ですが、働き過ぎや食生活の乱れにより、40代で末期の腎臓がんになられる。どの病院でも死を宣告され、それまでの伝手を辿って西洋、東洋医学の医師や民間療法の治療者などの話を聞くようになられた。

末期がんから生還した人はいるのかを聴いてみたら、いるわいるわ。そこでそういう人たちがどうやって治ったかを世界中を回って取材して番組にされるんです。

〈市川〉 
1995年に放映された「人間はなぜ治るのか」という番組がそれですね。自然療法に取り組む私のところにも取材に来られました。

〈昇〉 
それまで「がんは治らない」というのが世間の常識でした。少し前までは告知すらしませんでしたから、この番組の内容は衝撃的だったと思います。ところが、医学界から大変なバッシングを受けて、いたたまれなくなった川竹さんは退局してガン患者研究所を立ち上げられるんです。

〈市川〉 
「がんが治るということを世界に伝えるには、千百人集会なるものを開く」とその頃から力強く宣言されていました。

〈昇〉
僕はこの集会に参加して以来、川竹さんが主催されるいろいろな会に参加するようになりました。

……(続きは本誌をご覧ください)

~本記事の内容~
◇医師を驚かせた末期がん生還者たち
◇泣いて生まれて笑って死のう
◇笑うことで活性化するNK細胞
◇自然療法を通して6つの難病を克服
◇「治る力」はこうすれば高まる
◇悪い食べ物は人間の心身を蝕む
◇病は命を紐解きみつめるための機会

プロフィール

昇 幹夫

のぼり・みきお――昭和22年鹿児島県生まれ。九州大学医学部卒業後、麻酔科、産婦人科の専門医として大阪で勤務。平成11年フリーに。現在、産婦人科診療もしながら、日本笑い学会副会長(笑いと健康の部門を担当)として笑いの医学的効用を研究。「健康法師」として講演活動を行っている。著書に『泣いて生まれて笑って死のう』(春陽堂書店)『笑って長生き』(大月書店)『笑いは心と脳の処方せん』(二見レインボー文庫)など。

市川加代子

いちかわ・かよこ――昭和24年京都府生まれ。家族のがん、自らの病気、子供の死をきっかけに中国伝統医学、米国分子矯正栄養学、各種療術法(ヨガ、気功、森手技など)、心理学等を学び、びわの葉やこんにゃく、生姜などを使った民間療法「市川式恢復療法」を確立。西洋医学で「打つ手がない」と言われた人たちを助け、生きる勇気と「治る力」を引き出してきた。著書に『あなたの「治る力」を引きだそう』(あさ出版)『台所はくすり箱』(銀河出版舎)『あなたの体の設計にミスはない』(新日本文芸協会)『健康からだ予報』(共同掲載/能気ラボラトリー)。DVDに『治る力』(共著/ガンの患者学研究所)。


編集後記

日本笑い学会副会長の昇幹夫さん、自然療法研究家の市川加代子さんは、病院で「治療は難しい」と言われた人たちが、自然療法によって健康を取り戻していく姿を数多く目の当たりにしてきました。人間はなぜ病気になるのか。誰もが持つ「治る力」はどのようにして引き出されるのか。お二人のお話は、人生において避けては通れない病に向き合う上で元気や活力を与えてくれるでしょう。

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