日本人の美意識を求めて菱田聖子（結髪師／セイコ髪結店代表）

日本では古来、艶やか黒髪は〝女の命〟、日本美人の象徴として尊ばれ、貴族から庶民に至るまで、様々な工夫を凝らした複雑かつ美しい「日本髪」生み出されてきた――その日本髪の伝統をいまに受け継ぐのが、セイコ髪結店を経営する結髪師の菱田聖子さんです。菱田さんはどのようなきっかけで現在の世界に入り、また腕を磨いてきたのでしょうか。師とのエピソード、印象に残る仕事を交えながら語っていただきました。その体験談から日本人が大事にしてきた美意識、生き方が見えてきます。【写真提供＝バッハフォトグラフィー】

先人たちが脈々と受け継いできた日本髪の技術を守ると共に、その素晴らしさを一人でも多くの人に伝えていきたい

菱田聖子
結髪師／セイコ髪結店代表

古来日本では、艶やかな黒髪は〝女の命〟、日本美人の象徴とされ、貴族から庶民に至るまで、様々な工夫を凝らした複雑かつ美しい「日本髪」が生み出されてきました。その結い方は時代や身分、年齢によってそれぞれ特徴があり、髪型に対してこれほどの情熱を傾けてきた歴史は、世界広しと言えども日本以外にはないのではないでしょうか。

日本髪には日本人が大事にしていた生き方や美意識がたくさん詰まっている。先人たちが脈々と受け継いできた日本髪の技術を守ると共に、その素晴らしさを一人でも多くの人に伝えていきたい。その思いで、伝統的な日本髪を結う結髪師の道を20年以上にわたって歩んできました。

岐阜県で生まれ育った私が、結髪師の世界に入った原点は成人式でした。……（続きは本誌にて）

プロフィール

菱田聖子（ひしだ・せいこ）