将来を熱く語り合った在りし日を偲んで 村田純一(村田機械会長)

稲盛さんは思いつきで言葉を発せられることはなく、一度掲げた目標に向かって着実に、一歩一歩達成するまでしつこく努力されました

村田純一
村田機械会長

稲盛さんとの出逢いは20代後半、繊維機械の販売を得意としている当社が京セラのセラミック部品を仕入れたことで知り合いました。稲盛さんは私の3つ上と年齢が近く、1杯呑むことになってご縁が深まっていきました。

いまでも忘れられない思い出があります。あの頃の私たちにとって「年商1000億円」という数字は経営者として目指したい境地でありながら、遥か彼方の目標でした。

しかし稲盛さんの頭の中ではその次の次元、「1兆円」が視野に入っていたのです。

「年商1000億円に到達したい」と夢や志を語り合っていると、稲盛さんは「いや1兆円だ。1社で1兆円は程遠いけれど、京都の会社10社がそれぞれ1000億円を売り上げれば、1兆円に到達できる。我々で結束して、そのくらいやろうではないか!」、そう皆を鼓舞されたのです。

1000億円という数字に尻込みしつつも稲盛さんに刺激され、年商1000億円の事業計画を掲げたのが1980年、私が45歳の時でした。

高い目標を思い続けることは重要で、弊社もグループ連結売上高が約4000億円を達成できました。京セラさんはいまや年商1・8兆円の大企業です。

プロフィール

村田純一

むらた・じゅんいち―昭和10年京都府生まれ。33年アメリカに留学し、35年村田機械入社。45年創業者である父の急死により社長に就任。その後、京都商工会議所会頭、日本繊維機械協会会長、日本商工会議所副会頭などを歴任。平成15年より会長。令和4年取締役会長に。


2022年11月1日 発行/ 12 月号

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