12 月号ピックアップ記事 /我が心の稲盛和夫
「利他」の灯をかかげて 五木寛之(作家)
「私はね、やっぱり利他だと思うんですよ」
と、少年のように目を輝かせて語った稲盛さんの表情を今も忘れることができない。
五木寛之
作家
私が稲盛さんとはじめてお目にかかったのも、雑誌『致知』がもうけてくださった対談の席でのことだった。
同年生れとはいえ、経済界の雄であり、また実業を志ざす人々の思想的リーダーとして、稲盛和夫さんのお名前はつとに耳にしていた。
対談の席にのぞんだ私は、さすがに相当、緊張していたのだが、挨拶をかわした瞬間、たちまちそのこわばりは溶け去ったのだった。
温顔、といえば月並みな形容になる。そこにいるのは経営者のカリスマでもなく、日本国内のみならず、中国にも圧倒的な稲盛信徒をもつ国際的実業家でもない一介のオッさんという印象だったのだ。
こういう書き方をすると、物書きの思いあがりのようにとられかねないだろう。しかし、藤尾秀昭編集長(当時)の巧みな舵取りを待つまでもなく、私たちは古い友人のように気楽に談笑することができたのだ。
プロフィール
五木寛之
いつき・ひろゆき―昭和7年福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮に渡り、22年に引き揚げる。早稲田大学露文科中退後、PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、41年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、42年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、51年『青春の門・筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞を受賞。14年菊池寛賞を受賞。22年に刊行された『親鸞』で毎日出版文化賞を受賞。稲盛和夫氏との共著に『何のために生きるのか』(致知出版社)がある。
特集
ピックアップ記事
-
対談
稲盛さんに学んだリーダーの条件
伊藤謙介(京セラ元社長)
小野寺 正(KDDI元社長)
-
特別講話
人は何のために生きるのか
稲盛和夫(京セラ名誉会長)
-
インタビュー
後世に伝えたい 稲盛さんの創業者魂
永守重信(日本電産会長)
-
対談
稲盛さんに教わった人生で大切なこと
岡田武史(FC今治オーナー)
栗山英樹(侍ジャパントップチーム監督)
-
我が心の稲盛和夫
ど真剣の情熱で可能性を信じ抜く
柳井 正(ファーストリテイリング会長兼社長)
-
我が心の稲盛和夫
「利他」の灯をかかげて
五木寛之(作家)
-
我が心の稲盛和夫
将来を熱く語り合った在りし日を偲んで
村田純一(村田機械会長)
-
我が心の稲盛和夫
動機善なりや 私心なかりしか
門川大作(京都市長)
-
我が心の稲盛和夫
常に明るく前向きに──
清水新一郎(日本航空副社長)
-
我が心の稲盛和夫
人として正しい道を貫け
伊藤雅章(京都サンガF.C.社長)
-
我が心の稲盛和夫
命に代えても果たしたい〝約束〞
武隈 晃(国立大学法人鹿児島大学 稲盛アカデミー長)
-
我が心の稲盛和夫
確固たる人間観、死生観を持つ
大田嘉仁(日本航空元会長補佐専務執行役員)
-
我が心の稲盛和夫
人類が共有できる稲盛哲学の力
曹 岫雲(稲盛和夫〈北京〉管理顧問有限公司董事長)
-
アーカイブ
利他の心こそ繁栄への道
稲盛和夫(京セラ名誉会長)
-
座談会
我ら、かく稲盛フィロソフィを学び、経営を発展させてきた
十河孝男(徳武産業会長)
小池由久(日本経営ホールディングス名誉会長)
濵田総一郎(良知経営社長)
京谷忠幸(ピーエムティー社長)
好評連載
ピックアップ連載
バックナンバーについて
バックナンバーは、定期購読をご契約の方のみ
1冊からお求めいただけます
過去の「致知」の記事をお求めの方は、定期購読のお申込みをお願いいたします。1年間の定期購読をお申込みの後、バックナンバーのお申込み方法をご案内させていただきます。なおバックナンバーは在庫分のみの販売となります。
定期購読のお申込み
『致知』は書店ではお求めになれません。
電話でのお申込み
03-3796-2111 (代表)
受付時間 : 9:00~17:30(平日)
お支払い方法 : 振込用紙・クレジットカード