志を高く、大義を掲げそれに殉ずれば、懸命不動の力が与えられる 新井正明(住友生命保険名誉会長) 稲盛和夫(京セラ会長)

この対談はいまから27年前、1994年に行われたものである。時に稲盛和夫氏62歳。35周年の節目を迎えていた京セラの経営に加え、第二電電の設立にも携わり、八面六臂の活躍を続けていた頃である。対する新井正明氏は当時82歳。住友生命保険の社長、会長を歴任した関西財界の重鎮であった。人生と経営の本質を捉えた両氏のお話は、27年の時を経ていささかも色あせることがない。初出時の特集「懸命不動」の巻頭を飾った名対談を、ここに再録する。(肩書は掲載当時のもの)

宿命というものはある。しかし、運命は自分で変えられる、と安岡正篤先生から教わりました

新井正明
住友生命保険名誉会長

 私は55年前に、戦争で片脚になった。これは宿命だと思っています。しかし、そこから人生をどう好転させていくか。これは運命で、これは変えていけるという考えを持っています。
 いくら考えても、もとの体には戻らないのだからしょうがない。大事なのはそれから先を自分でどう切り開くかだと、私は思います。私はそういう気持ちでやっていますから、気が楽ですね。

私は、人生は心の置きどころ、心の置き方一つによって、かくも変わるものかと、「仕事・人生の結果=能力×熱意×考え方」という人生方程式を作ったわけです

稲盛和夫
京セラ会長

 考え方にはプラス100点からマイナス100点まであります。つまり世を拗ね、世を恨み、まともな生き方を否定するような生き方をすればマイナスがかけられ、人生や仕事の結果は能力があればあっただけ、熱意が強ければ強いだけ、大きなマイナスになります。
 だから、考え方こそ最も大きなことなんですよ、ということを訴えたかったのです。

プロフィール

新井正明

あらい・まさあき――大正元年群馬県生まれ。昭和12年東京大学法学部法律学科卒業。同年住友生命保険に入社。13年に応召、ノモンハン事件での戦傷により右脚を切断。15年復職。25年取締役。33年常務。38年専務。41年社長。54年会長。61年名誉会長に就任。長年、安岡正篤氏に師事し、関西師友協会会長も務めた。平成15年死去。著書に『古教、心を照らす』『心花、静裏に開く』『先哲の言葉』(いずれも致知出版社)。

稲盛和夫

いなもり・かずお――昭和7年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。34年京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、平成9年より名誉会長。昭和59年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任、平成13年より最高顧問。22年には日本航空会長に就任し、27年より名誉顧問。昭和59年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。また、若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注いできた(令和元年12月に閉塾)。著書に『人生と経営』『「成功」と「失敗」の法則』『成功の要諦』、共著に『何のために生きるのか(四六判・新書判)』(いずれも致知出版社)など。


編集後記

27年前、1994年発刊の本誌に掲載した稲盛さんの貴重な対談記事を再録しました。住友生命保険元会長で関西財界の重鎮である新井正明さんと語り合う稲盛さんは当時62歳。幾多の試練を越えて掴んだ人生の真理、経営の神髄を語るその言葉からは、迸るようなエネルギーが伝わってきます。

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