成功の要諦は〝無我夢中の歩み〟にあり 武田 宣(キタムラ・ホールディングス代表取締役 社長執行役員CEO)

2016年、創業以来初の赤字を計上したキタムラの事業の継続と従業員の雇用の継続を条件に再建を託された武田宣氏は、同社を僅か1年でV字回復へと導く。覚悟を持って取り組んだその道のりには経営と仕事の極意が詰まっている。

己のすべてを懸けて当事者として向き合うこと、絶対に逃げないこと、やり切る覚悟、これが大前提になければ組織を率いていくことはできません

武田 宣
キタムラ・ホールディングス代表取締役 社長執行役員CEO

――他に、組織をまとめる上で大切にされたことはありますか?

〈武田〉 
どんなことが起きたとしても、己のすべてを懸けて当事者として向き合うこと、絶対に逃げないこと、やり切る覚悟に尽きると思います。これが大前提になければ組織を率いていくことはできません。それに加え、私は理解力が弱いほうなので「人の話をしっかり聞く」ことを大切にしてきました。

新しい経営者が突然やってきて、「こんなことやってたらだめだ、明日からやめる」なんて言っていたら経営にはならないでしょう。重要なポイントを一緒に考え、社員の皆さんの思っていることを引き出す、対話して納得してもらうことが大事なんです。

――それは非常に根気のいる仕事でもありますね。

〈武田〉 
そうですね。ただ、結果が出ると皆もついてきてくれました。小さな成功体験を共有し、積み重ねていくことで信頼感も高まっていったと思います。

これは自分の原点に遡るんですが、私の父親はキリスト教の牧師で、ある意味で経済的合理性とは真逆の家庭で育ちました。父はいつも人の心に向き合い続けていました。

私にどんな理不尽なことがあっても「感謝せい。感謝せい」と言うわけです。それが子供の時から染みついているから、人の話を心で聴くことが身についたのだと思います。

その教えが経営や仕事にも役立っているので、両親には本当に感謝しています。

プロフィール

武田 宣

たけだ・のぶる――昭和36年大阪府生まれ。59年関西学院大学を卒業し、近畿大阪銀行に入行。平成15年ソウ・ツー社長就任。26年カルチュア・コンビニエンス・クラブ副社長就任。29年キタムラ会長就任。令和元年キタムラ・ホールディングス社長就任。


編集後記

新宿 北村写真機店で行われた取材では、武田社長自ら全フロアを案内いただき、その熱のこもったお話しから仕事に懸ける情熱がひしひしと感じました。19億円の赤字を抱えたカメラのキタムラを僅か1年でV字回復に導いた道のりは、経営・仕事のヒントに溢れています。

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