武士道精神の伝承に、我が命を燃焼す 平田冨峰(日本協会第17代会長)

剣豪・宮本武蔵の祖父・平田将監から17代目に当たる平田冨峰氏。10歳から始めた剣道は最高位の八段を極め、また、警視庁捜査一課の刑事として数々の凶悪犯罪の解決に身命を賭してきた。80歳を越えるいまなお現役で剣を交える平田氏に、体験から掴んだ人生・武士道精神の極意、そしていまを生きる日本人へ伝えたいメッセージをお話しいただいた。

私に老後はありません。臨終引退の心算で、日本の明るい未来のために生かされたこの命を完全燃焼し、輝かせていく思いです

平田冨峰
日本協会第17代会長

――平田さんは、剣の達人・宮本武蔵の祖父・平田将監から数えて17代目に当たるそうですね。

〈平田〉 
平田将監は当時の竹山城の殿様の家老であり、武術指南役を務めていました。私の実家がある美作国宮本村(現・岡山県美作市宮本)には将監のお墓が残っていまして、その墓碑にも「武専院仁義一如居士」と記されています。

それで、将監には武蔵の父である無二(無二斎)と武助の二人の子がいたのですが、私の家は武助の系統に当たるんですね。ちなみに、無二斎は時の将軍・足利義昭から「日下無双兵法術者」という号を賜るほどの武芸者でした。

その後、平田家は基本的には農家として田畑を耕し、いざという時に刀を持って戦う地域のリーダーとして代々続いてきました。

――幼少期からご先祖様のことを聞かされて育ったのでしょうか。

〈平田〉 
父には幼い頃から「おまえには武蔵と同じ血が流れているんだ。このことだけは忘れず肝に銘じておけ」と耳にタコができるほど聞かされました。

農業をやっていましたので、生活は決して豊かではありませんでしたけれども、父はその言葉の通り本当に謹厳実直な人でした。

ですから、私は子供の頃、地元でも有名な悪ガキだったのですが、人のものを盗んだり、自分より弱い者をいじめたり、卑怯なことだけは絶対にしなかったんです。

プロフィール

平田冨峰

ひらた・ふほう――昭和17年岡山県生まれ。剣豪・宮本武蔵の祖父である平田将監から数えて17代。37年警視庁警察官として奉職。大塚警察署長、装備課長、鑑識課長、捜査一課長、立川警察署長、生活安全総務課長、刑事部参事官等を歴任。平成13年定年退職。三菱地所総務部CSR推進部顧問(現在は退職)。剣道教士八段。小野派一刀流、直心影流の修業にも取り組み、現在も現役で後進の指導に当たり、剣の道を通じて武士道精神を伝承している。令和元年「瑞宝小綬章」受章。


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