人生も経営も試練が成長をもたらす 齊藤 寛(シャトレーゼホールディングス会長)

菓子の製造小売業として国内最大規模を誇るシャトレーゼ。
「おいしいものをお値打ち価格で」をモットーに、今年創業69年、国内730店舗、海外9か国160店舗を展開し、400点以上の和洋菓子を手掛けている。
20歳の時に地元・山梨で僅か4坪の焼き菓子店からスタートし、1000億円企業に育て上げたのが齊藤寛氏だ。
シャトレーゼはなぜこれほどまで成長を遂げてきたのか。そこには3つの大きな試練があったという。
89歳なお気力漲る齊藤氏に、これまでの苦難の道のりと現場で叩き上げてきた経営哲学、事業発展の要諦に迫った。

米寿を越えて89歳になりましたが、まだ通過点ですね。
僕自身、歳を重ねても気持ちは一介の起業家のつもりでいます。
人生まだまだこれから、〝常に前進〟が信条です

齊藤 寛
シャトレーゼホールディングス会長

――齊藤会長が20歳の時に始められた会社は今年創業69年、ご自身も89歳を迎えられましたね。振り返って、いま心に抱く思いをお聞かせください。

まだ「ing」、現在進行形なんですよ。ですから、あまり過去を振り返った感慨はなくて、いま我われが目指しているのは1兆円企業です。これは僕が80歳の時に打ち出した「30年プラン」に掲げられている目標です。

創業した時は1億円が目標でしたが、おかげさまで前期(2022年3月期)は連結で1150億円の売上高になっています。

当社は和菓子、洋菓子、アイスクリーム、パンの製造販売業を中心に、ホテルを8か所、ゴルフ場を19か所、ワイナリーを2か所、スキー場を2か所、それぞれグループで経営しています。

あと2~3年で2000億円になる予定で、1兆円に向けていろいろな仕掛けを考えていまして、ちょうどこれからが楽しい時ですね。

――いまなお未来を見据えて挑戦の日々を過ごされている。

取材依頼の際に送ってくださった『致知』の見本誌に、日本電産の永守重信さんの記事が載っていましたね。

実はそれを読んで感銘を受けまして、先日、社員が出してきた来期の事業計画がいまひとつだったものですから、「ちょっとこれを読め」と。皆、真剣に考え直していました(笑)。

そういうことで若い人をいかに育てていくか。5年前からは娘にホールディングスの社長を任せていますが、何と言っても事業は人なりですので、これまで僕が培ってきた仕事や考え方の継承に尽力しているところです。

プロフィール

齊藤 寛

さいとう・ひろし――昭和9年山梨県生まれ。29年20歳の時に焼き菓子店「甘太郎」を創業。5年後、㈲甘太郎を設立し、代表取締役に就任。39年大和アイス㈱を設立。42年2社を統合し、㈱シャトレーゼに社名変更。平成20年代表取締役会長に就任。22年シャトレーゼをはじめ、ワイナリー事業、リゾート事業、ゴルフ事業などを統括して㈱シャトレーゼホールディングスに商号変更し、代表取締役社長に就任。30年より現職。著書に『シャトレーゼは、なぜ「おいしくて安い」のか』(CCCメディアハウス)。


編集後記

20歳で創業したシャトレーゼを1代で1000億円企業に育て上げた齊藤寛さんは御年89歳。取材の冒頭、現在の心境をお尋ねすると、開口一番、「まだing、現在進行形なんですよ」と即答された姿が印象的でした。何歳になっても学び続ける、挑戦し続ける。それが職業の分野を問わず一流の人物たる所以であることを教えられます。

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