四書五経に学ぶ人間学 礼記

周から漢にかけて儒学者がまとめた礼に関する書物を戴聖が編纂したもの。全四十九篇。唐代以降、五経の一つとして尊重された。四書のうちの『大学』と『中庸』はもともと本書の一篇である。


玉琢(みが)かざれば器(うつわ)と成らず。人学ばざれば道を知らず

(せっかくの玉も、せっせと磨き上げなければ立派な器にならない。それと同じように、人間も学ぶことによって自分を磨き上げていかなければ、人たるの道をわきまえた立派な社会人にはなれない)

凡(およ)そ人の人たる所以は礼義なり。礼義の始めは、容体を正し、顔色を斉(ととの)え、辞令を順にするに在り

(人の人たるゆえんは礼儀にある。礼義の始めは姿勢や態度、歩き方を正すことであり、その次に表情を和やかにし、最後に言葉遣いを気を付けること)

敖(おご)りは長ずべからず。欲は従(ほしいまま)にすべからず

(傲慢になったり、欲望のままに突っ走ってはいけない)

人の子たるを知りて、然(しか)る後に以って人の父たるべし。人の臣たるを知りて、然る後に以って人の君たるべし。人に事(つか)うるを知りて、然る後に能(よ)く人を使う

(子としての務めをしっかりと果たしてこそ、自分が親となった時、親としての責任を果たすことができる。臣下としての務めをしっかりと果たしてこそ、自分が君主になった時、君主としての責任を果たすことができる。部下として上司に仕えた経験があってこそ、自分が上司の立場になった時、よく部下を使いこなすことができる)

直情(ちょくじょう)にして径行(けいこう)する者あるは、戎狄(じゅうてき)の道なり。礼の道は則(すなわ)ち然(しか)らず

(感情の赴くままに行動するのは野蛮な人間の生き方である。礼に則った生き方はそれとの異なる。 ※成語である「直情径行」の出典)

善く問いを待つ者は、鐘(かね)を撞(つ)くが如(ごと)し。これを叩くに小なるを以てすれば則(すなわ)ち小さく鳴り、これを叩くに大なるを以てすれば則ち大きく鳴る

(立派な教師というのは、生徒から見ると鐘のようなものだ。小さく叩くと小さく鳴るし、大きく叩くと大きく鳴る)