四書五経に学ぶ人間学 中庸

経書、一巻。子思の著と伝えられる。もとは『礼記』の中の一篇であったが、朱熹が「中庸章句」を作ったことから四書の一つとして儒教の根本書となった。天人合一の真理を説き、中庸の誠の域に達する修養法を述べる。


知者はこれに過ぎ、愚者は及ばず

(頭のよい人はやり過ぎてしまうし、愚かな者は及ばずに終わってしまう)

天の命これを性と謂(い)い、性に率(したが)うこれを道と謂い、道を修むるこれを教えと謂う

(天から、かく生きるべしと人に与えられたものを性と言う。性にしたがって生きることを道と言い、道を学ぶことを教育という)

誠は天の道なり。これを誠にするは人の道なり

(誠は天の道である。誠の発現につとめるのが、人の道である)

至誠(しせい)神の如し

(至誠は神のような力をもつ)

君子はその位(くらい)に素(そ)して行い、その外を願わず

(君子というのは、現在の位置や境遇のなかで与えられた責任を果たすことだけを考え、そのほかのことは一切念頭におかないものである)

其(そ)の人を待って而(しか)る後に行わる

(しかるべき人物が現れるのを待った上で、ものごとを進めなければ事をなすことはできない)

隠れたるより見(あらわ)るるはなく、微かなるより顕(あきら)かなるはなし。故に君子はその独りを慎むなり

(隠そうとすればするほど、かえって世間に知られてしまう。些細なことほど、かえって目につきやすい。このため君子は、独りでいるときこそ行いを慎むのである)