日本の〝移民政策〟はこれでいいのか 稲村公望(元日本郵便副会長)

日本で働く外国人労働者は200万人を突破し、その数は増え続けています。『黒潮文明論』など多数の著作を上梓し、鋭い評論活動を展開している元日本郵便副会長・稲村公望氏に、移民政策の問題点や日本が真に豊かになるために必要な施策や心構えについて語っていただきました。

南北朝時代に南朝方を支えた北畠親房が「大日本は神の国なり」と明言したように、日本文明を破壊に導きかねない安易な移民政策を決して許してはなりませんし、グローバリゼーションへの盲目的追従、外国への属国化に対しても声を大にして拒否しなくてはなりません

稲村公望
元日本郵便副会長

人手不足は日本経済が抱える最大の課題なのだから、外国人労働者を受け入れなければいけないと盛んに喧伝されていますが、そもそもそれは本当なのでしょうか。

日本は世界トップの長寿国ですが、経済を支える生産年齢人口を15歳から64歳に該当する人口として定義していることが、実情に合っていないのではないかと私は考えています。寿命の延びに政策の基本となる統計数字がついていっていない典型的な例が生産年齢人口であると思うのです。

確かに、2050年における15歳から64歳までの日本の生産年齢人口は52パーセントで、先進主要国よりも低くなりますが、例えば、この定義を20歳から74歳とすれば62パーセントとなり、日本の労働資源を悲観する必要はなくなります。

ですから移民受け入れより、まず本人の意志と需要があれば、何歳になっても働き続けられる制度づくりに取り組むことが先決であり、それこそ真の「働き方改革」だと思うのです。

長寿社会を大事な社会資源とし、長寿立国に相応しい産業構造へ転換していけば、特に単純労働の外国人労働者、移民を拙速に受け入れる必要はないのです。

……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
◇日本は事実上の移民国家である
◇安易な移民政策がもたらすリスク
◇移民受け入れに失敗した欧米諸国に学べ
◇日本は自立自尊の国づくりを目指せ
◇世界をリードする和合の哲学

本記事では、様々な分野で鋭い提言を発し続けている稲村公望さんに、日本が真に豊かな国になっていくための処方箋を語っていただきました。

プロフィール

稲村公望

いなむら・こうぼう――昭和22年奄美・徳之島生まれ。東京大学法学部卒業。同年郵政省入省。米国フレッチャー法律外交大学院修了。55年在タイ日本国大使館一等書記官。58年郵政省復帰。沖縄郵政管理事務所所長、総務省政策統括官(情報通信担当)などを歴任。平成15年日本郵政公社発足と同時に常務理事就任。「郵政民営化」に断固反対。24年新会社「日本郵便株式会社」副会長就任。26年日本郵便株式会社常任顧問を辞任。「月刊日本」客員編集委員。令和元年春の叙勲で瑞宝中綬章受章。著書に『続々 黒潮文明論』(彩流社)『詳説「ラストボロフ事件」』(共に彩流社)など多数。


2024年12月1日 発行/ 1 月号

特集 万事修養

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