百才は一誠に如かず 米女太一(アサヒ飲料社長)

各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。
今回ご登場いただいたのは、「三ツ矢サイダー」「ウィルキンソン」「カルピス」と、どれも100年以上の歴史をもつ飲料ブランドを有するアサヒ飲料の米女太一社長です。アサヒビールに入社し、10年ほど人事畑を歩んでいたところ、未経験の営業職に異動となり、悩む中で上司から贈られたある言葉を糧に実績をあげてこられました。アサヒ飲料への移籍後、2020年で社長に就任して間もなくコロナ禍に直面。そこで指針になったのも、若い頃に授けられた教えでした。

私がここまでやってこられたのは、上司から「誠」というZ軸を示唆していただいたおかげといえるでしょう

米女太一
アサヒ飲料社長

アサヒビールの本社で長らく人事畑を歩んでいた私が、千葉支社の営業部へ異動を命じられたのは1996年。入社10年にして初めて営業職に携わることになった私に、役員であった上司が餞(はなむけ)の言葉として色紙に書いて贈ってくださったのが、「百才は一誠に如かず」という言葉でした。

経験が長ければ強いわけではない。相手に百の才能があっても、誠実のほうが勝つこともあるから一所懸命頑張ってこい。

海千山千の強者が鎬(しのぎ)を削る営業の現場へ飛び込んでいく素人の私に、この言葉はどれほど大きな勇気を与えてくれたことでしょう。

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~本記事の内容~
◇相手に百の才能があっても誠実のほうが勝つこともある
◇君の仕事は皆の話をよく聴くことだ
◇私を導いてくれた「誠」というZ軸

プロフィール

米女太一

よねめ・たいち――昭和36年高知県出身。61年早稲田大学法学部卒業、アサヒビール入社。平成10年内閣中央省庁等改革推進本部事務局。12年復社。研究開発企画部担当部長などを経て、20年内閣国家公務員制度改革推進本部事務局。21年アサヒ飲料人事総務部長。28年取締役兼執行役員。30年常務取締役兼常務執行役員。令和2年社長に就任。


編集後記

言わずと知れた「三ツ矢サイダー」「ウィルキンソン」「カルピス」のブランドを長く受け継いできたアサヒ飲料。同社は全国に拠点を持ち、何千という従業員を抱えていますが、多忙な中で各地の現場に定期的に足を運び、オンラインツールを駆使しながら若手社員とも面と向かって談義を重ねる米女太一社長の姿勢に驚かされました。その原点は、20代でアサヒビールに入社して間もない頃、配属された工場の先輩従業員と深く語り合った体験がありました。

2024年12月1日 発行/ 1 月号

特集 万事修養

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