1 月号ピックアップ記事 /インタビュー
人生の師・立川談志が教えてくれたこと 立川談慶(落語立川流真打/作家)
「天才」「鬼才」「異端児」……。落語の常識を覆す語り口で一世を風靡し、数々の異名を取った稀代の落語家・立川談志。談志の18番目の直弟子にして、数多の著作で師の教えを伝承する立川談慶氏に、過酷な修業時代を振り返っていただき、人生・仕事の支えにしてきた立川談志の教えについて伺った。
談志から息をするように言い聞かされたのは、「努力はバカに恵(あた)えた夢」という言葉です。要は努力という言葉に溺れるなと。
プロなら努力するのは当たり前、その片鱗は結果で見せろということです
立川談慶
落語立川流真打
【写真=真打昇進披露パーティーにて、立川談志師匠と共に】
――談慶さんは天才落語家・立川談志の直弟子として、師の教えの伝承に努めていらっしゃいますね。
〈立川〉
2024年11月で談志の死から丸13年が経ちました。私も気づけば59歳になります。自分が立川流に入門した頃の談志は55歳でしたから、その年齢を超えてしまったんです。
もちろん師匠とは比べられませんけど、果たして自分の位置はどのあたりにいるのか、これからどのような役回りでいこうか、模索している最中です。
改めて振り返ると、談志の下で修業生活を送るにつれ、私の可能性の扉は開かれていきました。直近4年で十数冊の本を出版できたのも、過酷な修業があったからに他なりません。
ですから、師への感謝状という意味合いで本を書き続けてきました。また芸の面では、談志が落語のみならず浪曲にも幅を広げたように、来年以降の披露を目指して取り組んでいます。
――師への恩返しとして、様々な挑戦を重ねられている。
〈立川〉
やはり、根底にあるのは談志の系譜を辿りたいという思いですね。一方で、談志の二番煎じは誰も求めていません。
自分が持つ財産を活かしながら、いかに師匠の芸を継いでいくか。心の中に抱くリトル談志に「師匠、これでいいですか」と常に問いかけ、自分なりのアレンジを心掛ける。うちの一門は皆同じだと思いますよ。
――落語立川流とは、どのような一門なのでしょうか。
〈立川〉
400年の歴史を刻んできた落語は、
……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇天才落語家の教えを受け継ぎ、自らの手で栽培していく
◇矛盾極まりない行為に成長の可能性がある
◇回り道がすべて芸の幅になる
◇人生の師との別れ 立川談志が貫いた信念
プロフィール
立川談慶
たてかわ・だんけい――昭和40年長野県生まれ。63年慶應義塾大学卒業後、ワコール入社。3年間のサラリーマン生活を経て、平成3年立川流Aコースに入門。「立川ワコール」を名乗る。12年二つ目に昇進を機に、立川談志による命名で「立川談慶」に改名。17年真打昇進。現在は落語のみならず、著作や講演活動を通して立川談志の教えを広く伝えている。著書に『落語を知ったら、悩みが消えた』(三笠書房)『武器としての落語:天才談志が教えてくれた人生の闘い方』(方丈社) など多数。
編集後記
落語家としての活動に留まらず、作家として談志師匠の教えを伝承する立川談慶さん。随所にユーモアを交えながら、軽妙な語り口で談志師匠との思い出を振り返る姿が印象的でした。
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