親にもらった命を使い切って死のう 永山久夫 (食文化史研究家)

テレビにラジオ、出版……日本古来の食の伝道者として、飽くなき探究を続ける永山久夫氏。屈託のない笑顔と陽気な語りで親しまれているが、ここに至るには長い雌伏の時があった。食に懸け、晩熟した氏の人生観に興味は尽きない。

私はね、長生きは最大の親孝行だと思うんです

永山久夫
食文化史研究家

――永山さんはNHKのバラエティ番組「チコちゃんに叱られる!」など多くの媒体に、食の伝道者として出演されていますね。

〈永山〉
「チコちゃん」はもう17、8回出ているのかな? おかげさまで、ラジオ福島で放送している「永山久夫の100歳食入門」は2001年から続く長寿番組になっていますし、最近、日本財団で取材された食文化についてのインタビューは世界8か国に発信してもらっています。布団に入っても寝るのが惜しいくらい(笑)。

――92歳で実に快活、多彩な活動をされていますね。

〈永山〉
私は根っからの楽観主義でね。人間そうじゃないと、人生百年なんてもたないと思いますよ。

元気でいるためのコツは、まず好奇心です。自分が何かを面白いと思う。そうしたら、それを体験したり本を読んで調べたりして、自分の体の中に入れてみる。要はインプットです。次に、何でこんなに面白いのかと考えてみることが大事ですね。できたら、それをアウトプットしてほしい。

昔と違って、年を取ってもネットで何でも発信できる時代でしょう? それを人が見て注目されでもしたら、自信になるじゃないですか。だから若さを保てるかどうかは、好奇心を持ち続けられるかどうか。それを面白く伝えるアウトプット力を常に意識したらなおいいと思います。それが仕事になるかもしれないですからね。

私はいま、そうやって次々仕事が入るから、人生面白くてしょうがないですよ。はっはっは(笑)。

……(続きは本誌をご覧ください)

~本記事の内容~
◇好奇心を忘れず発信し続けよ
◇病を自力で治し、食に開眼する
◇とにかく続ける、ユーモアを忘れずに
◇日本が長寿食立国を果たす日のために

プロフィール

永山久夫

ながやま・ひさお――昭和7年福島県生まれ。福島師範学校を結核療養後に中退。37年都内に食文化研究所、平成10年に総合長寿食研究所を設立。西武文理大学元客員教授。NHK「チコちゃんに叱られる!」ほかメディア出演多数。近著に『紫式部ごはんで若返る』(現代書林)がある。


編集後記

日本の伝統食の専門家、伝道者として大活躍の永山さん。誌面に収まり切らないほど該博な食の知識には目から鱗。辛いご体験をおくびにも出さず、食が持つ力を明るく語られました。ワッハッハッハ、と大らかに笑う永山さんのお人柄に魅了されるひと時でした。

2024年11月1日 発行/ 12 月号

特集 生き方のヒント

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