可能性の扉を開けられるのは強い意志と行動 及川美紀(ポーラ社長)

「B.A」「リンクルショット」といった化粧品ブランドを多数手掛け、2029年には創業100周年を迎えるポーラ。その背景には、「お手渡しの心」の創業精神が脈々と受け継がれてきた企業風土があるといいます。同社初の女性社長に抜擢された及川美紀さんに、幾多の逆境を乗り越えてきた歩みと共に、経営理念を浸透させ、社員の可能性を最大限引き出し、幸せな経営に導く秘訣を伺いました。
【写真=1989年の誕生から根強い人気を誇る「APEX」。誕生35周年を迎え、アプリによるサポートを導入するなど、個肌対応ブランドとして進化を遂げている】

社員には「可能性の扉は自動ドアではない」とよく伝えています。人は誰しも無限の可能性を秘めていますが、その力を簡単に発揮できない。

可能性の扉を開けられるのは「何としても扉を開けたい」という強い意志であり、行動なんです

及川美紀
ポーラ社長

――及川さんが社長を務められるポーラは「B.A」「リンクルショット」といった化粧品ブランドを多数手掛け、2029年には創業100周年を迎えるそうですね。

〈及川〉 
弊社の成り立ちは1929年、創業者の鈴木忍が手荒れした妻のために最高の材料を使ってハンドクリームを生み出したことがきっかけです。現在は全国に約2,700店舗を展開し、社員数は約1,300人、ポーラレディの愛称で知られたビューティーディレクター(個人事業主の販売員、以下BD)は約23,000人に及びます。

大切な人を救いたいという思いから始まった会社なので、お手渡しの心を大事に歩んできました。「美しさを販売して、商品を奉仕せよ」という創業者の教えがあります。

単に商品を売るのではなく、お客様のなりたいお肌を伺い、一人ひとりに最適な手入れ法をお伝えすることで、本来の美しさを引き出す。この精神は訪問販売からスタートし、店舗販売が主流となったいまなお受け継がれています。

――創業の精神がいまも社内、ビジネスパートナーに息づいている。

〈及川〉 
例えば、個肌対応ブランド「APEX」は長年蓄積してきた2,070万件を超える肌データとAIによる肌分析を駆使し、お客様の肌状態を明らかにします。その上でBDが懇切丁寧なカウンセリングを行い、一人ひとりに適した成分・処方設計をご提案してきました。発売開始から35年経ち、肌分析は顕微鏡からAIに進化しましたが、現在もカウンセラーとお客様の関係を大切にし、根強い支持を誇っているんです。

こうした事業展開を受け、……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
◇化粧品会社ではなく人づくりの会社
◇原点となった入社3年目での出向
◇昇任試験に落ちて気づいたこと
◇コロナ禍の危機から見えてきた永続企業への道
◇人は誰しも無限の可能性を秘めている

本記事では全4ページにわたって、ポーラひと筋に歩んできた及川さんの体験談を掲載しています。

プロフィール

及川美紀

おいかわ・みき――昭和44年宮城県生まれ。平成3年東京女子大学文理学部英米文学科卒業後、ポーラ化粧品本舗(現・ポーラ)に入社。埼玉エリアマネジャー、商品企画部長を経て、26年取締役兼商品企画・宣伝・美容研究・デザイン研究担当商品企画部長。令和2年より現職。共著に『幸せなチームが結果を出す』(日経BP)がある。


編集後記

新卒でポーラに入社し、同社初の女性社長にまで抜擢された及川美紀さん。手掛けるブランドや先輩方との忘れ難いエピソードをイキイキと話される姿から、ポーラへの深い愛情を感じずにはいられませんでした。

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