一つの道を選び その道を歩き続ける 脇屋友詞(中国料理シェフ)

中国料理界の巨匠と称される脇屋友詞氏が料理の道に入ったのは15歳の時。厳しい修業に打ちのめされそうになりながら、あるスキー場でたまたま出合った一枚の色紙に書かれていた言葉が「この道より我を生かす道なし この道を歩く」だった。以来、この言葉は脇屋氏が人生を切りひらく原動力になっていった。鍋洗いに始まり、中国料理人としての地位を不動のものにした氏の人生に迫る。

料理人になりたいとは全く思っていませんでしたが、何とか辞めずに続けたら、料理にのめり込んでしまっていました。

大事なのは何を選ぶかではなく、何かを選ぶこと。「これこそが自分の道だ」と覚悟を決めることです。

目の前のことに必死で取り組みそれが自分のすべき仕事と分かった時、人生は必ず変わる

脇屋友詞
中国料理シェフ

——脇屋シェフは昨年、料理人人生50周年の節目を迎えられたそうですね。

〈脇屋〉 
はい。僕は15歳で中国料理の道に入り、気がついたら料理にのめり込んでしまっていました。

いろいろと大変な時期もありましたが、何とか辞めずに続けていたら、いつしか50年という歳月が流れていた、というのが実感ですね。最初から料理人を目指していたわけではありませんが、周りの友達と同じように高校に進んで普通に就職していたら、ここまで充実した人生は送れていなかったと思います。

——経営される店は、どこも国内外からのお客様が引きも切らない人気店だと聞いています。

〈脇屋〉 
ありがたいことに国内はもとより、ヨーロッパやアジアのお客様も多くいらっしゃいます。いまは東京の赤坂に3店舗、銀座に2店舗を経営していますが、それぞれに店のコンセプトが異なっているんですね。

例えば赤坂の「Wakiya一笑美茶樓」は2001年、昔ながらの料亭を買い取って改築した店で、家庭的な中国料理をお出しすることを原点に経験を積み重ねてきました。同じ赤坂の「トゥーランドット臥龍居」は、東洋と西洋の融合を試みたとても華やかな雰囲気が特徴です。ランチの時間はいつもお洒落をした若い女性や奥様方で賑わっています。

……(続きは本誌をご覧ください)

~本記事の内容~
◇中国料理の道を半世紀歩き続けて
◇「おまえには食の神様がついている」
◇「背中に目をつけろ、耳はウサギの耳だ」
◇客の入らないレストランを発想の転換で人気店に
◇物事を成し遂げるために大事なこと

本記事では全4ページにわたって、脇屋氏の歩みを振り返っていただきました。自らの意に反して、弱冠15歳で入った中国料理の道。いまや中国料理界の巨匠と呼ばれるまでになった脇屋氏は、いかにしてこの道を切り拓いてきたのか。あらゆる仕事に通ずる心構えが示されています。全文は本誌をご覧ください!

プロフィール

脇屋友詞

わきや・ゆうじ――昭和33年北海道生まれ。中学卒業後「山王飯店」や「楼蘭」、東京ヒルトンホテル/ザ・キャピトルホテル東急「星ケ岡」等で修業を積み、27歳でリーセントパークホテル「楼蘭」中国料理部料理長、平成4年に同ホテル総料理長。8年「トゥーランドット游仙境」代表取締役総料理長に就任。13年「Wakiya一笑美茶樓」を、令和5年「Ginza脇屋」をオープン。平成22年「現代の名工」受賞。25年黄綬褒章を受章。著書に『厨房の哲学者』(幻冬舎)。


編集後記

中国料理の道を自らの手で天職に変えた脇屋氏の歩みは、まさに「この道より我を生かす道なし この道を歩く」を体現しています。自らの夢や目的を実現するための道半ばにいる方、仕事を始めたばかりの若い世代にぜひ読んでいただきたい内容です。

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