鞠躬尽力、死して後已まん 藤澤正人(神戸大学第十五代学長)

2022年、創立120周年の節目を迎えた神戸大学。国立大学の中でも有数の歴史を持つ学府ですが、現学長の藤澤正人さんは同大医学部附属病院の病院長も務めた泌尿器科の医師であり、さらに国産では初の手術支援ロボット〈hinotori (ヒノトリ)〉開発の立役者でもあります。本欄では自身の座右の銘を踏まえ、ご経験と学生たち、神戸という町の未来も語っていただきました。

「鞠躬尽力(きっきゅうじんりょく)、死して後(のち)已(や)まん」

これを必ず成し遂げるという強烈な情熱と粘り強さを自ら行動で示し、人の力を噛み合わせて初めて、よい仕事ができる

藤澤正人
神戸大学第十五代学長

私が生まれた市川町は、兵庫県で二番目に人口が少ない地域です。子供の頃の遊び場と言えば近所の山か川、医院も二軒だけの町でしたが、往診から外来まで、町民の病気を何でも診る開業医の先生の姿に感化されたこともあり、医者を志しました。

といっても、高校は家から遠い上に、町に進学塾はありませんでした。自分で計画を立て自分で参考書を読み込む、自学自習が私の唯一の勉強法でした。それを貫徹した結果、現在学長を務める神戸大学の医学部に合格することができたのです。

物事をやり抜くには「折れない、ぶれない、諦あきらめない」の三つが大事だと考えるようになった原点です。

プロフィール

藤澤正人

ふじさわ・まさと――昭和35年兵庫県生まれ。59年神戸大学医学部卒業。平成元年同大学院医学研究科博士課程修了。翌年アメリカ合衆国人口問題研究所に留学。帰国後は神戸大学医学部附属病院長、同大学院医学研究科長・医学部長などを歴任、令和3年4月より現職。


編集後記

実際にお話しをした藤澤学長は、物静かな語り口の奥に、医師や研究者を目指す後進や医療界への溢れ出る思いを感じさせました。
「トップは一番働くものだ」「決めたことはコロコロ変えずにやり抜かないと、下の人から信用は得られない」(いずれも要約)
このような〝上に立つ者〟としての覚悟と実践が、日本になかった医療ロボットを現実のものとし、また信望を集めて学長へと押し上げたのだろうと思わずにいられませんでした。

2024年2月1日 発行/ 3 月号

特集 丹田常充実

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