ソーシャルビジネスで世界を変える——業界を牽引するリーダーに学ぶ将の器、志の磨き方 更家悠介(サラヤ社長) 出雲 充(ユーグレナ社長)

SDGs(持続可能な開発目標)が掲げられて10年が経とうとしているが、我われは日常生活の中でどれほど意識した行動がとれているだろうか――。本業のビジネスを通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現を目指すサラヤの更家悠介社長とユーグレナの出雲充社長。ソーシャルビジネスの先駆者であるお二人に、未来を切りひらくリーダーに求められる胆力とは何か、語り合っていただいた。

世の中は常に変化しているので、丹田に力を入れて、変化や挑戦を恐れず常に情熱を持って前進し続ける姿勢が不可欠です

更家悠介
サラヤ社長

私は危機感というのは常に抱いていて、コロナ禍も危機でしたし、ポストコロナもある意味で大きな危機であると同時に、変化の時です。そして変化はやはりチャンスでもあると。

その変化への対応は非常に大事ですので、社員にも危機を危機と思わずチャンスだと捉えて頑張ろうとよく伝えています。

変化への対応力で言えば、まず大事なのがスピード感です。それから社員の理解を深めること。

社員が嫌々対応していたら、できるものもできなくなるので、社員とのコミュニケーションを大切に、その事業の必要性を繰り返し伝えなければなかなか浸透しません。

それから、変化の対応は一人でできるものではないので、スピード感や事業への理解度を高める組織カルチャーを築くこと。この3つが危機の時にリーダーに求められる資質だと思います。

不可能だと思われるような難しいチャレンジに、「昨日の不可能を、今日可能にする」、この気概を持って世界に貢献していきたい

出雲 充
ユーグレナ社長

創業15周年のタイミングで、当社のあるべき姿としてユーグレナ・フィロソフィー「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を制定しました。これはまさに先ほど更家社長がおっしゃっていた座標や軸の話と同じです。

変化の激しい時代には、しっかりとした軸がなければ会社がグラグラしてしまいます。創業から15年以上経ったとはいえ、この変化の激しい時代を仲間と共に乗り越えることはそう簡単ではありません。

「人と地球を健康にする」という思いは変わっていませんが、人と地球を健康にする〝やり方〟はいろいろあります。

コロナ禍で移動が制限されるなど様々な変化があった中で、無理してものを安くつくる、そして安売りする、という選択もあったわけです。

でも、サステナビリティという視点はどんなに苦しい状況でも見失ってはいけないなと。そういう北極星のようにぶれない軸があると、会社って安心して前進できるんです。

プロフィール

更家悠介

さらや・ゆうすけ――昭和26年三重県生まれ。49年大阪大学工学部卒業。50年カリフォルニア大学バークレー校工学部衛生工学科修士課程修了。翌年サラヤに入社し、取締役工場長に就任。55年に専務取締役、平成元年には日本青年会議所(JC)会頭を務める。10年に代表取締役社長に就任。世界での売上高は1千億円を突破。26年渋沢栄一賞受賞、令和5年に「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 経済産業大臣賞を受賞。著書に『これからのビジネスは「きれいごと」の実践でうまくいく』(東洋経済新報社)『地球市民宣言』(日経BP)など。

出雲 充

いずも・みつる――昭和55年広島県生まれ。東京大学農学部卒業後、平成14年東京三菱(現・三菱UFJ)銀行入行。17年ユーグレナ社を創業、代表取締役社長就任。同年12月に世界で初となる微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。世界経済フォーラム(ダボス会議)ヤンググローバルリーダー、第1回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」受賞。経団連審議員会副議長。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。』(小学館新書)『サステナブルビジネス』(PHP研究所)など。


編集後記

「ヤシノミ洗剤」「ラカントS」など家庭用品から業務用商品とサービスでSDGsビジネスに注力するサラヤは、途上国での社会貢献活動にも尽力しています。片や「人と地球を健康にする」というパーパスを掲げ、ヘルスケアだけでなくバイオ燃料の分野でも新たな挑戦を続けているのがユーグレナ。持続可能な社会の実現に尽力する更家悠介さんと出雲充さんに経営者としての心構えを伺いました。

2024年2月1日 発行/ 3 月号

特集 丹田常充実

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