誰もが愛されていると感じて旅立てる社会をつくる 柴田久美子(日本看取り士会会長)

毎号分野を問わず、人生を真剣に生き、一隅を照らしている女性にフォーカスしている連載「第一線で活躍する女性」。創刊当初より読者の皆様からの高い人気を得ている人気連載です。
今月は、人々の最期に寄り添う「看取り士」のパイオニアとして知られる日本看取り士会会長・柴田久美子さんにご登場いただきました。
看取りの道に至るまでの辛い半生と共に、250名を超える方々を看取る中で掴んだ死生観、幸せな人生を送る秘訣についてお話いただきました。

この世に生を享けた限り、死は平等に訪れます。そして人間の終末期ほど、尊いものはありません。

そのひと時に寄り添わせていただくことが私たちの魂を清め高めると共に、一人ひとりの幸せな生き方、ひいては社会の幸せに繋がっていくと思います

柴田久美子
日本看取り士会会長
(写真撮影:清水和士)

─柴田さんは人々の命の最期に寄り添う「看取り士」のパイオニアとして知られていますね。

〈柴田〉 
たった一人で看取り士として活動を始め、早30余年です。これまで250名を超える方々の最期に立ち会ってきました。

悲しいことに、昨年日本の死者数は約158万人で過去最多を更新し、団塊世代が後期高齢者入りする2025年はさらに急増する見込みです。そうした昨今だからこそ、看取り士の存在意義が高まっているのではないでしょうか。

看取り士の役割は主に3つあります。1つ目は相談業務です。ご本人やご家族のご意向を伺い、必要に応じて在宅医や訪問看護師等の手配をさせていただきます。

2つ目は、24時間いつでも駆けつける寄り添い業務です。在宅死を望まれる場合は必然的に24時間介護が求められ、ご家族への負担は計り知れません。そのため、約10名の無償のボランティアで構成された「エンゼルチーム」が見守りを致します。

そして3つ目が、ご臨終の立ち会いです。私が30年かけて編み出した独自の看取りの作法を行うと共に、ご家族に手取り足取りお伝えします。こうして余命宣告から納骨まで、尊厳ある最期を迎えるサポートを行っているんです。

─独自の看取りの作法とは、どのようなものですか。

〈柴田〉 
なにも難しいことはありません。……(続きは本誌にて)

 ▼看取りは命のバトンリレー
 ▼「愛こそが生きる意味だよ」
 ▼生きてこそ看取りができる
 ▼死の尊さは命の尊さ
 ▼最期の1%が幸せなら人生は幸せなものに変わる

本記事では全4ページにわたって、看取りの現場で30年以上生と死を見つめてきた柴田さんの体験談をお話しいただきました。愛する人の最期を受け止め、幸せな人生を全うするヒントとは――。

「旅立つ方の最期の願いを叶えたい」という一心で幸齢者の肌に触れ、寄り添う柴田さん

プロフィール

柴田久美子

しばた・くみこ――昭和27年島根県生まれ。48年日本マクドナルド入社。平成5年より看取りの世界に入り、14年病院のない離島に「看取りの家」設立。抱きしめて看取る実践を重ねる。24年一般社団法人「日本看取り士会」設立。看取り士の養成・派遣に注力し、現在看取り士の有資格者は2,300名を超える。著書に『私は、看取り士。』(佼成出版社)『幸せになるヒント』(ミネルヴァ書房)など多数。


編集後記

終始笑顔を浮かべながら快く取材に応じてくださった柴田さん。穏やかな口調と纏うオーラから、人を包み込むやさしいが溢れていました。時に涙ぐみながらお話しくださる様子からは、看取りの活動に従事する覚悟の深さをまざまざと感じ入りました。看取りの道に徹してきた柴田さんの実践から、幸せな最期を迎えるヒント、幸福な生き方を教えられます。

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