自損型輸入が日本を亡ぼす ~確かな国家観を持ち、豊かな日本を取り戻そう~ 小島尚貴(J-Tech Transfer and Trading代表)

「失われた30年」といわれる長期経済停滞に苦しんでいる日本。その一因には、過度に安い商品を追い求める「コスパ病」、そして日本の産業を衰退させる「自損型輸入」の存在があると、長く貿易現場に携わってきた小島尚貴氏は語る。日本を亡ぼす「コスパ病」「自損型輸入」の驚くべき実態、そこから脱却して豊かな経済大国・日本を取り戻す処方箋とは――。

買い物も企業経営も、個と全体が助け合う営みです

小島尚貴
J-Tech Transfer and Trading代表

私は福岡を拠点に、主に九州の中小・零細企業の製品を海外に売り込む輸出業に携わっています。

輸出といえば、企業がさらなる販売機会を求めて海外市場に挑戦する積極的な意味合いを持つ言葉だと思いますが、近年は「国内の事業が低迷しているため、海外に販路をつくれないか」と、消極的な動機から輸出を検討する企業も少なくなく、私は「座して衰退を待つより、輸出で少しでも地方を活性化できれば」という思いで携わってきました。

しかし、いくら私が孤軍奮闘しても、活性化はおろか、衰退の阻止さえ不可能なのではないかという危機感が年々強まるばかりです。

そもそも、なぜこんなにも国内販路が減少して苦境に立たされているのか。そこには、個々の企業の経営努力だけでは対処できない問題があることに気づいたのです。

それは、私が輸出している地方の国産品よりもはるかに安い価格で、類似製品を日本市場に大量に持ち込む多くの「日本人輸入業者」の存在です。

プロフィール

小島尚貴

こじま・なおたか―昭和50年福岡県生まれ。西南学院大学を中退し、マレーシアの貿易会社に入社。帰国後は経済誌の記者として働き、平成13年に独立。輸出業を中心に45か国を訪問し、マレーシア、セルビア、香港の企業の役員等を経て、23年より福岡県を拠点に輸出・国際技術移転事業を手掛ける。現在は熊本県八代市など、九州の自治体、経済団体の貿易アドバイザーも務める。著書に『「コスパ病」貿易の現場から見えてきた「無視されてきた事実」』(Kindle Direct Publishing〈KDP〉)がある。


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