3 月号ピックアップ記事 /意見・判断
自損型輸入が日本を亡ぼす ~確かな国家観を持ち、豊かな日本を取り戻そう~ 小島尚貴(J-Tech Transfer and Trading代表)
「失われた30年」といわれる長期経済停滞に苦しんでいる日本。その一因には、過度に安い商品を追い求める「コスパ病」、そして日本の産業を衰退させる「自損型輸入」の存在があると、長く貿易現場に携わってきた小島尚貴氏は語る。日本を亡ぼす「コスパ病」「自損型輸入」の驚くべき実態、そこから脱却して豊かな経済大国・日本を取り戻す処方箋とは――。
買い物も企業経営も、個と全体が助け合う営みです
小島尚貴
J-Tech Transfer and Trading代表
私は福岡を拠点に、主に九州の中小・零細企業の製品を海外に売り込む輸出業に携わっています。
輸出といえば、企業がさらなる販売機会を求めて海外市場に挑戦する積極的な意味合いを持つ言葉だと思いますが、近年は「国内の事業が低迷しているため、海外に販路をつくれないか」と、消極的な動機から輸出を検討する企業も少なくなく、私は「座して衰退を待つより、輸出で少しでも地方を活性化できれば」という思いで携わってきました。
しかし、いくら私が孤軍奮闘しても、活性化はおろか、衰退の阻止さえ不可能なのではないかという危機感が年々強まるばかりです。
そもそも、なぜこんなにも国内販路が減少して苦境に立たされているのか。そこには、個々の企業の経営努力だけでは対処できない問題があることに気づいたのです。
それは、私が輸出している地方の国産品よりもはるかに安い価格で、類似製品を日本市場に大量に持ち込む多くの「日本人輸入業者」の存在です。
プロフィール
小島尚貴
こじま・なおたか―昭和50年福岡県生まれ。西南学院大学を中退し、マレーシアの貿易会社に入社。帰国後は経済誌の記者として働き、平成13年に独立。輸出業を中心に45か国を訪問し、マレーシア、セルビア、香港の企業の役員等を経て、23年より福岡県を拠点に輸出・国際技術移転事業を手掛ける。現在は熊本県八代市など、九州の自治体、経済団体の貿易アドバイザーも務める。著書に『「コスパ病」貿易の現場から見えてきた「無視されてきた事実」』(Kindle Direct Publishing〈KDP〉)がある。
特集
ピックアップ記事
-
鼎談
心の力をいかに高めるか
鈴木秀子(文学博士)
數土文夫(JFEホールディングス名誉顧問)
横田南嶺(臨済宗円覚寺派管長)
-
インタビュー
我が人生、死ぬまで修業 ~1億円の盆栽をつくる男が語った仕事の流儀~
小林國雄(盆栽作家)
-
エッセイ
子供の健やかな心を育てる条件 ~児童精神科医として歩んだ五十年~
渡辺久子(渡邊醫院副院長)
-
エッセイ
自省自修の人 曽国藩の生き方に学ぶ
清水稔(佛教大学名誉教授)
-
インタビュー
世のため人のための経営を追求する
増本岳(カーブスホールディングス社長)
-
インタビュー
すべてを力に ~人生に無駄なことは何一つない~
大山峻護(元総合格闘家)
-
インタビュー
不断の努力こそ危機に応ずる最重要の資質
横田友宏(日本航空・スカイマーク元国際線機長)
-
対談
逆境を乗り越えていまを生きる——闘病体験を通して掴んだもの
安奈淳(女優)
音無美紀子(女優)
-
対談
『森信三 運命をひらく365の金言』に学ぶべきもの
浅井周英(「実践人の家」参与)
坂田道信(ハガキ道伝道者)
好評連載
バックナンバーについて
バックナンバーは、定期購読をご契約の方のみ
1冊からお求めいただけます
過去の「致知」の記事をお求めの方は、定期購読のお申込みをお願いいたします。1年間の定期購読をお申込みの後、バックナンバーのお申込み方法をご案内させていただきます。なおバックナンバーは在庫分のみの販売となります。
定期購読のお申込み
『致知』は書店ではお求めになれません。
電話でのお申込み
03-3796-2111 (代表)
受付時間 : 9:00~17:30(平日)
お支払い方法 : 振込用紙・クレジットカード