3 月号ピックアップ記事 /対談
『森信三 運命をひらく365の金言』に学ぶべきもの 浅井周英(「実践人の家」参与) 坂田道信(ハガキ道伝道者)
国民教育の師父と謳われた森信三師。その没後30年の節目に当たる昨年11月、弊社より発刊され大きな反響を呼んでいるのが『森信三 運命をひらく365の金言』である。森師の謦咳に接し、同書にそれぞれ「まえがき」「推薦の言葉」をお寄せいただいた浅井周英氏と坂田道信氏の心に、いま去来するものは何か。同書を手にした感動や、大切な思い出を語り合っていただく中で、いま、改めて森師の教えから学ぶべきものについて考えてみたい。
森先生の生涯を貫いた一心は、時代を超えて私たちの心の中に生き続けているのではないかと思います
浅井周英
「実践人の家」参与
〈浅井〉
森先生が平成4年の11月21日にお亡くなりになって、昨年でちょうど30年が経ちました。ありがたいことに、その節目の年の8月に致知出版社さんから『続・修身教授録』が発刊され、これで一つの区切りをつけていただいたと思っていたら、さらに祥月命日の11月21日にこの『森信三 運命をひらく365の金言』(以下『365の金言』)を上梓してくださいました。
〈坂田〉
30年も経って、よくこんな立派な本をつくってくださいました。本当にありがたいことです。
〈浅井〉
森先生は生前、「私が死んで30年経ち、たとえ2人でも3人でも自分の書いたものを読んでくれたら、文化勲章をもらうよりも嬉しい」とおっしゃっていました。実際に30年経ったいま、致知出版社さんのご尽力もあって、2人や3人どころか、ものすごい数の人々が森先生の言葉に感応し、この『365の金言』も大きな反響を呼んでいる。先生の教えを受けた我われとしては、こんなにありがたいことはありません。
きっといま頃森先生は、魂の故郷で森信三哲学の伝承に努められた寺田一清さん、ご子息の迪彦さんと手を取り合って喜ばれていると思いますよ。
私はこの『365の金言』を読んだ皆さん一人ひとりに、争いのない、互いが分かち合えるような人類の新しい文明の扉を開いてほしいと願っております
坂田道信
ハガキ道伝道者
〈坂田〉
私も、この『365の金言』を一人でも多くの人に配布しなければと決心、決意して、皆さんに案内したところ、早速500人以上の方が注文してくれました。
〈浅井〉
あぁ、それはすごいですね。
〈坂田〉
一冊一冊が、「お役に立ちたいよ」と叫びながら私の元から出ていったような感触なんです。ありがたいことに、皆さん喜んで読んでくださっています。
〈浅井〉
坂田さんにはとても及びませんが、私もたくさんの人に贈りましたし、私の友人のようにお子さんやお孫さんに贈ったという人が何人もいます。自分だけのものにしておくのではなく、周りの大切な人にもぜひ伝えたいという人が多いですね。
〈坂田〉
この『365の金言』は、魂の故郷ですよ。その気持ちを分かち合いたいと思うて、この本を贈る時に添えた手紙を少しご紹介します。
「冊子の中の一行、一言はずっと昔から、威張らず、素直、出しゃばらず、隠れる様にして、ただ一人の特定の読み人と出逢う事を楽しみに、千載一遇、首を長くして待っていてくれたのだと思えます。その一言は、私にとっては宝物です。
冊子全て役立つと言う事もあり得ると思いますが、自分の人生の時々の迷いの一コマ、その一言一行が、ふと役立って納得。それとなく絡みがほどけて、謎解きのように教えてくれて、人生の行く道を指し示してくれた分けです。
本との出逢いは、偶然に見えて必然で、昔から密かに用意されていたのだとも言えます」
〈浅井〉
まさしくこの本に相応しいお手紙ですね。
プロフィール
浅井周英
あさい・しゅうえい――昭和11年和歌山県生まれ。35年和歌山大学卒業後、教師となる。50年和歌山市教育委員会に入り、平成4年同教育長、8年より同助役を務める。18年森信三師が創設した「実践人の家」理事長。25年退任。
坂田道信
さかた・みちのぶ――昭和15年広島県生まれ。県立向原高校を卒業し、農業の傍ら大工見習いとなる。46年森信三師と出会い複写ハガキを始める。ハガキによるネットワークを確立し、講演などで全国を飛び回る一方、食への関心を深め、自宅を開放した半断食、坐禅断食の会や料理教室を開催。著書に『ハガキ道に生きる』『この道を行く』(共に致知出版社)などがある。
編集後記
『森信三 運命をひらく365の金言』の発刊を記念し、森師の愛弟子である浅井周英さんと坂田道信さんにご対談いただきました。同書を500人以上の方に勧めてきた坂田さん曰く、「この本が多くの人に求められる時代を致知出版社がつくり上げてくれた」。本誌はこの言葉に感謝し、驕ることなく、今後とも人間学の普及に邁進します。
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