2 月号ピックアップ記事 /提言
明治に学ぶ2050年の日本をひらく道 ~日本を凜とした国にするために~ 藤原正彦(お茶の水女子大学名誉教授)
日本の混迷の大本は、日本人が太古の昔から育んできた美質を、欧米崇拝の歴史の中で見失ってしまったことにある――。日本のあるべき姿を長年、提言してきた藤原正彦氏の視点は明確である。そして、明治人たちの生き方に学ぶことは、その美質を取り戻す道でもあるという。藤原氏の提言は、眠っている日本人の魂の覚醒を促すものといってよい。
日本が世界を導くには大きな条件があります。それは何より日本人自身が先祖が培ってきた美質に目覚めることです。
また、そのためには日本人が失いつつある読書文化の復興は絶対に欠かすことができません
藤原正彦
お茶の水女子大学名誉教授
「基盤となる形を持たない個性は、新しい思潮に常に圧倒される」
根無し草のようないまの日本の風潮を思う時、かつて文芸評論家の唐木順三氏が語ったこの言葉が思い起こされます。
結論的なことから申し上げれば、日本には古来、他のどの国にもない誇るべき美質がありました。それを忘れて欧米の思想や考え方に迎合し飼い馴らされてしまったことが、現代における様々な混乱の一番の要因である、というのが私の一貫した主張です。
欧米の国々が日本の手本とするに足る国家であればまだしも、道徳的に日本に比べてはるかに後れをとる国々を逆に手本としながら歩んできたわけですから、これがそもそもの間違いだったのです。
有史以来、日本は道徳面で世界を圧倒し続けていました。中国の歴史書『後漢書』には……(続きは本誌をご覧ください)
~本記事の内容~
◇日本には世界に誇るべき美質があった
◇西洋思想に飼い馴らされた日本のインテリたち
◇人権思想と日本の美徳の根本的な違い
◇武士道精神を叩き込まれた人生の原点
◇武士道を体現した先人たち
◇読書文化の復興が欠かせない
◇読書を通して人としてのあり方を学ぶ
◇日本の美質に世界が注目する時代が来る
プロフィール
藤原正彦
ふじわら・まさひこ――昭和18年旧満州新京生まれ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。理学博士。コロラド大学助教授などを経て、お茶の水女子大学教授。現在は同大学名誉教授。53年に数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』(新潮文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。著書に280万部の大ベストセラー『国家の品格』(新潮新書)の他、『国家と教養』(同)『スマホより読書 本屋を守れ』(PHP文庫)など多数。最近著に『藤原正彦の代表的日本人』(文春新書)。
編集後記
都内の閑静な住宅街にある藤原正彦さんの仕事場に取材で伺いました。数学者、大ベストセラー『国家の品格』の著者として知られる藤原さんですが、どこか飄々としたお人柄ながら、その主張は明快で、揺らぐことのない祖国愛によって貫かれていることに改めて感じ入りました。貴重な提言は日本人としての誇りを呼び醒ましてくれます。
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