2 月号ピックアップ記事 /各界の識者に聞く
水を制する者は国家を制する 吉村和就(グローバルウォータ・ジャパン代表)
世界人口の増加などにより、水不足が年々深刻さを増している。水問題解決のため国内外で活動を続ける吉村和就氏に、日本が水資源に恵まれた豊かな国であり続けるための道をお話しいただいた。
【写真=「日本を守るためには水の安全保障が必要だ」と日本の国益のために力を尽くした故・中川昭一氏(写真右)と共に】
水を制するものは国家を制する。
この自覚をもとに水資源に恵まれた豊かな国づくりに邁進していくことによって、日本は2050年に必ず立ち上がることができる。私はそう確信しています
吉村和就
グローバルウォータ・ジャパン 代表
私たちが普段、当たり前のように使っている水。このありがたさを十分に理解している人は、いまの日本では少数派かもしれません。
国連加盟国193か国のうち、豊富な水源に恵まれている国は僅か21か国。さらに、蛇口から出てくる水を安心して飲める国は、日本を含めてたった11か国しかありません。私たち日本人は、日々潤沢に水を使える環境に浸り切っているため、そのありがたみを忘れてしまいがちです。しかし世界ではいま、年々深刻化する水資源の不足によって、熾烈な水の争奪戦が展開されており、私たちが使っている水も、いつ入手困難になってもおかしくない状況にあるのです。
地球の人口は増え続けていますが、水資源の総量は約14億立方キロメートルのまま変わることはなく、その97・5%は海水で、淡水は残りの2・5%。そのうち人類が使える水は僅か〇・〇1%に過ぎません。現在80億人の人類が、この〇・〇1%の水を奪い合いながら暮らしているのが世界の現実なのです。私も出席した国連2023水会議でグテーレス事務総長は、現在80億人の人口の半分が今後30年以内に水の危機に瀕すると警鐘を鳴らしています。
……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇世界で展開される熾烈な水の争奪戦
◇生成AIや5Gが水を「がぶ飲み」する
◇300年前にSDGsを実践していた日本
◇人口が1億人を下回っても幸せな国であるために
プロフィール
吉村和就
よしむら・かずなり――昭和23年秋田県生まれ。大学卒業後、企業勤務を経て、平成10年国連ニューヨーク本部、経済社会局・環境審議官に就任。17年グローバルウォータ・ジャパン設立、代表に就任。著書に『水ビジネス―110兆円水市場の攻防』(角川書店)『図解入門業界研究 最新 水ビジネスの動向とカラクリがよ〜くわかる本』(秀和システム)など多数。
編集後記
蛇口をひねれば当たり前に出てくる水。しかしそんな国は世界でも稀であり、いま世界中で水の争奪戦が繰り広げられていると吉村さんは警鐘を鳴らします。先人の教えに学びつつ、豊かな水資源の国・日本をこれからも守り続ける要諦を語っていただきました。
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