5 月号ピックアップ記事 /インタビュー
狂言の力で日本に活力を取り戻す 茂山千三郎 (狂言師)
江戸時代から続く名門に生まれながら、〝フリーランス狂言師〟として従来の枠に囚われない活動で狂言の新たな可能性をひらいている茂山千三郎氏。3歳の初舞台から50年以上狂言の一道を倦まず弛まず歩んできた千三郎氏に、狂言が秘める力、そこから見えてくる古来日本人が大事にしてきた生き方についてお話しいただいた。
頭で考えるのではなく、自分の感性や目に見えないものに素直に耳を傾け、身を任せていくことで、よりよい人生の循環が生まれていくように思うんです
茂山千三郎
狂言師
――千三郎さんはどの一門にも属さない〝フリーランス狂言師〟として幅広い分野でご活躍です。
〈茂山〉
狂言の世界には、他の伝統芸能と同じで流儀、一門という枠があるんですね。私の場合は江戸時代初期から続く茂山千五郎家の一門になります。まあ、芸能界でいう事務所みたいなものです。
フリーランスになれば、一門を通じた仕事は来なくなるわけですが、狂言は一門の中で2、3人のチームを組んで公演を行いますから、本来はフリーランスでの活動はあり得ないことなんですよ。
でも私は、いろんな分野の方とご縁をいただく中で、一門の役者とばかりやっていてよいのだろうか。ほとんどの日本人が狂言を見たことがないという時代になっている中で、狂言のあり方はこのままでよいのだろうかという思いが年々強くなっていきましてね。
ただ、新しい取り組みをするにしても、一門にいては迷惑が掛かる。であれば、フリーランスになろうと、2020年12月31日をもって茂山千五郎家を離れたんです。56歳の時でした。
事情があって一門を離れざるを得なかった人は過去にもいたかと思いますが、自らの意志でフリーランスになった狂言師はおそらく私が初めてだろうと思います。
――しかし、フリーランスでは大変なことも多いのではないですか。
〈茂山〉
最初は人を雇う余裕はありませんから、自分で自主公演を企画し、共演してくださる狂言師に声を掛け、案内状に切手を貼はって発送して、稽けい古こもして……というように、完全に一人で全部やらなくてはいけなくて大変でした。
ただ、・・・
▼フリーランス狂言師として新たな道を切りひらく
▼「和儀®」の普及で元気な日本を取り戻す
▼芸は頭ではなく体で覚えるもの
▼見えないものにこそ人生の幸福がある
プロフィール
茂山千三郎
しげやま・せんざぶろう――昭和39年生まれ。祖父・三世茂山千作(人間国宝)、父・四世茂山千作(人間国宝)に師事。3歳「業平餅」の童にて初舞台。50か国に及ぶ海外公演、他分野とのコラボレーション、演出家としても活躍。平成26年「京都府文化賞功労賞」受賞。令和3年茂山千五郎家から独立。フリーランス狂言師として、自主公演「三ノ会」や狂言に伝わる教えをもとにした健康メソッド「和儀®」の普及など、従来の枠に囚われない活動に取り組んでいる。
編集後記
どの一門にも属さない〝フリーランス狂言師〟として、狂言の新しい可能性に挑戦し続けている茂山千三郎さん。SNSでは「千ちゃん」として親しまれているそうですが、取材でも常に自然体、生き生きとした語り口で、先代からの教え、狂言に伝わる日本人の生き方をお話しいただきました。背筋をピシッと伸ばし、自分だけの人生をひらいていくヒントが満載のインタビューです。
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