5 月号ピックアップ記事 /インタビュー
書こそ我が人生 命ある限り歩み続ける 黒田賢一(書家/正筆会会長)
かな書道の名門・正筆会の会長を務める黒田賢一氏。22歳という若さで日展に入選するなど早くから頭角を現してきた現代かな書道の第一人者である。師・西谷卯木氏との邂逅と別れをはじめ書家としての転機を交えながら、60年以上に及ぶ書家人生を振り返っていただいた。
人間、挫折をしてそこから立ち上がると結構強くなるんですね。私も頑張っていけるという裏付けを得たことで、それが自信に繋がったように思います
黒田賢一
書家/正筆会会長
――東京・銀座で開催されている作品展(正筆会菁華書作展)に伺いましたが、多くの来場者で賑わっていますね。
〈黒田〉
ありがたいことにきょう一日だけでも900人ほどがお見えになりました。書の作品展としては多いほうでしょうね。正筆会には神戸を拠点に全国に3000人以上の会員がいて、皆さんの切磋琢磨の場として神戸や東京でこのような作品展を毎年開催しています。
当会は、日本藝術院会員で文化功労者でもいらした書家・安東聖空先生によって約100年前に設立されました。それまでは書というと3000年以上の歴史がある漢字がもっぱらでしたが、安東先生は日本古来の美しいかな文字を愛好し、それを芸術にまで高めたいという思いでこの会を立ち上げられました。かな書道では日本で最も歴史ある団体なんです。
――書の研究の拠り所は古典に求められるのですか。
〈黒田〉
はい。私たちは古典主義を大変重視しています。かなの場合は……(続きは本誌をご覧ください)
▼かな文字の魅力を伝え続けて
▼両腕があるのは相対、片腕になるのは絶対
▼師の必死の形相に書家のあり方を知る
▼著名な書の大家にアプローチ
本記事では、書家で、日本で最も歴史あるかな書道の団体・正筆会の会長を務める黒田さんに、これまでの人生の歩みを語っていただきました。「作品には作者の人間性が投影される」との言葉通り、書作を通じて人格陶冶を続けてきた氏の生き方とは――。
プロフィール
黒田賢一
くろだ・けんいち――昭和22年兵庫県生まれ。10代でかな書家の西谷卯木に師事し、22歳で日展初入選。44歳でかな書道研究会・正筆会理事長となり、以降兵庫県書作家協会会長、正筆会会長、日展理事などを歴任。日展では2度特選を受賞した他、『静寂』で内閣総理大臣賞、『小倉山』で日本芸術院賞を受賞した。日本芸術院会員、文化功労者。
編集後記
温かさと謙虚なお人柄が印象的な黒田さん。一方で、日展において2度目の特選を受賞された際、当時就いていた職と両立しながら1700枚ほどの書作に励むなど、内に秘めた情熱も凄まじいものがありました。
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