400年の歴史は「伝統」と「革新」にあり 高田信吾(虎屋本舗十六代目当主)

広島県福山の地で、今年創業402年を迎える和菓子屋・虎屋本舗。その16代目当主である高田信吾氏は、31歳で社長に就任し、革新的なアイデアで傾きかけた会社を再建させてきた。歴史と伝統ある老舗企業をいかにして立ち直らせたのか。その要諦に迫る。

私より優れた経営者はたくさんいると思いますが、それでも虎屋にとって、自分が最高の社長でありたい

高田信吾
虎屋本舗十六代目当主

私は家業に入るまで、菓子の世界には全く触れずに、夢だったアパレル関係の仕事に就いていました。ところが27歳の時、先代の父が、がんで余命宣告をされたのです。あと半年しか持たないと。

それですぐに広島に帰り、虎屋に入ることになりました。父はそれから2年間生きてくれましたが、29歳の時に亡くなり、経験もほとんどないまま31歳で社長になった私は、この「伝統」のプレッシャーに押し潰されそうになりながら、必死に歩んできたという感覚なんです。

社長になった直後は、思うようにいかず、泣き言ばかりの日々を送っていました。

さらに、30年前の和菓子の世界は封建的な一面があり、特に菓子作りの経験が全くない私は、職人さんたちとの関係にも非常に苦しみ、言い争いになることもしばしばでした。

そんな中で大きな転機となったのは、そんな私を見かねた菩提寺の住職に言われたこの言葉です。

「信吾君は虎屋を選んで生まれてきたのではない。いま、虎屋の社長をするために選ばれて生まれてきた」と。

プロフィール

高田信吾

たかだ・しんご―昭和38年広島県生まれ。虎屋本舗十六代目当主。國學院大學経済学部卒業後、アパレルメーカーに勤務し、先代の危篤をきっかけに、平成2年(株)虎屋本舗入社。6年、社長に就任。令和3年より会長。


編集後記

今年創業402年を迎える和菓子屋・虎屋本舗の16代当主として、全くの未経験から会社を再建し、今日の発展をつくってこられた高田信吾さん。革新的な発想の商品とは裏腹に、先代の教えを「商人道十訓」にまとめ上げ、社の「伝統」として大切に守ってこられました。最後に「永続する企業の秘訣」を伺いましたが、その答えは私たちが想像するものとは全く違う、意外なものでした。高田さんの答えはぜひ、本誌でお読みください。

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