おにぎりは心と心を繋ぐもの 右近由美子(おにぎり専門店「ぼんご」店主)

東京・大塚に店を構えるおにぎり専門店「ぼんご」。創業60年を超える老舗ながらSNSを中心に幅広く取り上げられ、いまでは最長8時間待ちの日本一の人気店に成長しました。2代目店主であり、今日の発展の礎を築いた右近由美子さんに、日本一に至るまでの足跡と艱難辛苦を乗り越える中で掴んだ幸せな人生を送る秘訣を伺いました。

苦労大会に出場したら1位になれるくらい、朝から晩までおにぎりを握り続けてきました。

四苦八苦した分、ここ数年は毎日お店に出られるだけで幸せなんです

右近由美子
おにぎり専門店「ぼんご」店主

──日本一賑わうおにぎり専門店があると伺い、やってまいりました。本日も平日にも拘らず、開店前から長蛇の列ができていますね。

〈右近〉
東京の大塚に暖簾を掲げるおにぎり専門店「ぼんご」は1960年に創業した、カウンター12席のみの小さな老舗です。

近年はテレビ番組やSNSを筆頭に数多くのメディアが取り上げてくださり、3、4時間の行列は当たり前。休日は8時間お待ちいただくこともしばしば。ありがたいことに、地方や海外からもわざわざ足を運んでくださいます。

──多くの人を惹きつけるぼんごの魅力を教えていただけますか。

〈右近〉 
大きな特徴は、「握らないおにぎり」でしょうね。おにぎりは握るからおにぎりなんですが、ついつい力を入れすぎる余り、固い食感になってしまいがちです。

一方、ぼんごでは寿司職人が親指でくぼみをつくってシャリに空気を入れるように、真ん中に穴を開けて空気を含ませてあげる。あとは数回ふんわり握ることで、口に入れた瞬間、お米がやさしく溶ける食感が実現するんです。

それから、新潟・岩船産のコシヒカリ、九州・有明海産の海苔、沖縄産の塩など素材にはとことんこだわっています。具材も豊富で、鮭をはじめとした定番から、ペペロンチーノ等のアレンジされたものまで全57種類に及びます。

でもね、老若男女問わず並んでくださる一番の理由は、商品のおいしさではないと思っています。私たちは、……(続きは本誌にて)

 ▼最大8時間待ちの行列 日本一の秘訣は「人」にあり
 ▼偶然の成功はあるが、偶然の失敗はない
 ▼出口の見えないトンネルの先で掴んだもの
 ▼一人でもお客様がいる限りおにぎりを握り続ける
 
本記事では全3ページにわたって、おにぎりの道ひと筋に歩んできた右近さんの体験談をお話しいただきました。
辛く苦しい修業時代、直面した経営危機、そしてご主人との別れ。幾多の困難を乗り換えてきた右近さんがおにぎりに込める想いとは――。

プロフィール

右近由美子

うこん・ゆみこ――昭和27年新潟県生まれ。19歳の時に上京。51年おにぎり専門店「ぼんご」初代店主の右近祐と結婚。平成14年より現職。
著書に『「ぼんご」のおにぎり おいしさのヒミツ』(朝日出版社)がある。


編集後記

「どうぞ、いらっしゃい。今日はよろしくお願いいたします」。若々しく、バイタリティに満ち溢れた右近さんに圧倒された1時間半でした。また、取材前にはとろけるような触感と温かさを感じるぼんごのおにぎりとお味噌汁を、感動をもって堪能しました。

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