6 月号ピックアップ記事 /対談
【大災害との闘い】我が社はこうして立ち直った 佐々木孝寿(ヤマサコウショウ社長) 上村晋一(阿蘇立野病院理事長)
今年の年頭、日本中に衝撃をもたらした能登半島地震。復旧半ばの現地に、一日も早く平穏な生活が戻ってくることを祈らずにはおられない。佐々木孝寿氏と上村晋一氏もまた、それぞれ東日本大震災と熊本地震で被災し、失意のどん底に突き落とされた体験を持つ。二人はかつてない危機からいかに立ち直ったのか。実体験から学ぶ、絶望を希望に転じる歩み方。
被災した時のことを改めて振り返って思うのは、希望も失望も心の持ちようだということです。
そして周りを失望させないために大切なのは、やっぱりトップの笑顔だと思っています
佐々木孝寿
ヤマサコウショウ社長
〈上村〉
佐々木さんとは、『致知』を通じて人間学を学ぶ社内木鶏会の実施企業同士であり、またお互いに大きな災害を乗り越えてきた共通点もあります。ですから、私は佐々木さんのことを勝手にソウルメイトと思って、特別な親しみを抱いているんです。
〈佐々木〉
ありがとうございます(笑)。
〈上村〉
この度私たちが対談の機会をいただいたからには、やはり今年の年初に起きた能登半島地震のことに触れないわけにはいきませんね。きょうの時点では復旧もまだまだ道半ばのようですが、私も熊本地震で被災しましたから、現地の方々のご苦労はとても他人事とは思えません。
〈佐々木〉
私も東日本大震災で被災しましたから、上村さんと同じ思いです。この度被災された方のことを思うと本当にお気の毒で、まずは心よりお見舞い申し上げます。
夢、希望、理想、そして志を持って、いまやるべきことをしっかりやっていけば、絶対にそれを実現できる。
そのことを、私は震災の体験を通じて身を以て実感しています
上村晋一
阿蘇立野病院理事長
〈上村〉
私も、現地の方々に心の底からお見舞いを申し上げたいです。
発生したのは、元日の午後4時過ぎでしょう。家族団らんの一番リラックスした時間に突然あんな悲劇に見舞われて、皆さんは天国から地獄へ突き落とされたような心持ちではないでしょうか。本当にお気の毒で……。
熊本地震で被災した私の地元・阿蘇は、観光地というアドバンテージもあって比較的復興も早かったと思うんです。しかし能登は半島という土地柄もあって、物資の運搬がかなり大変なようですね。
〈佐々木〉
いま私から現地の方に申し上げられることは、必ず復興できますので、そのことを強く信じていただきたい。いまがどんなに大変でも必ず復興できる。そう信じていただきたいということです。
〈上村〉
おっしゃる通りです。諦あきらめなければ道は絶対に開けます。どうか現地の皆さんには心折れることなく、復興する気持ちを強く持っていただきたい。そう祈るばかりです。……(続きは本誌をご覧ください)
◇必ず復興できる そう強く信じてほしい
◇地震で裏山に亀裂 決死の覚悟で患者を移送
◇大津波から九死に一生を得て
◇へたる時は死ぬ時だ
◇立野の地に医療の灯を点し続ける
◇628日の闘いを経て病院を全面再開
◇「あぁ、また仕事ができるんだなぁ……」
◇胸に響いた母親の愛情
◇復旧の支えになった社内木鶏会
◇リーダーの心の持ちようは職員にも伝染する
◇希望も失望も自分の心次第
プロフィール
佐々木孝寿
ささき・たかとし――昭和40年宮城県生まれ。東北学院大学経済学部卒業。東京の水産卸会社を経て、平成6年ヤマサコウショウに入社。21年同社社長に就任。
上村晋一
うえむら・しんいち――昭和40年熊本県生まれ。久留米大学医学部を卒業後、癌研究会付属病院、熊本大学第一外科などを経て、平成12年に医療法人社団順幸会阿蘇立野病院へ戻る。19年同院院長。26年同院理事長に就任。
編集後記
東日本大震災で被災されたヤマサコウショウ社長の佐々木孝寿さんと、熊本地震で被災された阿蘇立野病院理事長の上村晋一さん。共に失意のどん底から立ち直り、見事に組織を再生されたお二人の体験談に心を打たれました。この対談が、年初に発生した能登半島地震の被災者の方々に希望をもたらすことを願うばかりです。
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