為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 生島ヒロシ(アナウンサー)

TBSラジオで20年以上続く長寿番組「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」。メインパーソナリティーを務める生島ヒロシ氏は放送6,000回を突破したいまなお、毎朝5時から多くのリスナーに活力を届けている。そのすべての原点は、20歳から4年間の留学経験にあったと言う。アメリカでの波瀾万丈な体験と、TBSに入社してからの奮闘の日々を語っていただいた。

いま二十代を過ごす若者にアドバイスをするとしたら、「目の前の仕事を一つひとつ大切にする重要性」を伝えたい

生島ヒロシ
アナウンサー

 TBSにせっかく雇ってもらったからには特別な存在になろう。そう血気盛んに挑んだものの、初めは空回りの連続だった。
 せっかく身につけた英語も、テレビに比べ高齢の方が聞くラジオでは鼻につくからと禁止された。また、アナウンサーを目指してこれまで真剣に勉強してきた人に比べて基礎スキルが劣る上に敬語もきちんと使えず、仙台出身の僕には東北訛りもあった。アメリカでは勢いと「なんとかなるさ」精神で乗り切ってきたが、プロの現場ではそうはいかない。理想と現実とのギャップに相当悩まされ、「向いていない」と考えたことは一度や二度ではない。
 しかし、このまま逃げたら男が廃る。いくらアメリカでの特殊な経験を面白く語れたとしても、個性が花開くまではしっかりアナウンサーとしての基礎固めをしなければ。ネガティブな感情を振り切り、出演したラジオを繰り返し聞き直して勉強した。一日一語新しい言葉を増やすことを目標に掲げ、先輩のラジオをたくさん聞いてよい言葉、トークを吸収した。
 そうした努力が奏功し、自然とボキャブラリーが増え、トークにも自信がついた。そして三年目、遂に夜九時から十二時というゴールデンタイムに冠番組「生島ヒロシの夜はともだち」を持つことができたのである。アナウンサーらしくないところがよかったのだろう。同期の中では早いほうだった。

プロフィール

生島ヒロシ

いくしま・ひろし―昭和25年宮城県生まれ。46年単身渡米。50年カリフォルニア州立大学ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業。51年にTBS入社。ラジオ番組をふりだしに人気アナウンサーとして活躍。平成元年独立。著書に『どん底に落ちてもはい上がる37のストーリー』(ゴマブックス)など多数。最新刊に『70代現役!「食べ方」に秘密あり』(青春出版社)がある。


2022年3月1日 発行/ 4 月号

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