4 月号ピックアップ記事 /インタビュー
刀剣研師の道に終わりなし 臼木良彦(刀剣研師)
国内最高峰の刀剣研師に与えられる「無鑑査」に48歳で認定された臼木良彦氏。66歳になるいまなお第一線で刀剣研師の山を登り続け、技術の伝承・後進の育成に情熱を傾けている臼木氏に、人生の歩みを辿りながら、師に学んだ仕事の極意、自ら掴んだ人生の要諦をお話しいただいた。
自分が『研いでいる』ではなく、『研がせていただいている』という謙虚な思いで刀に向き合っています
臼木良彦
刀剣研師
本当に私は一本一本の刀を全部初めて見る気持ちで、研ぎに取り組んできました。「これは前にもやったよ」と思ってしまえば、いい仕事はできません。だから、一本一本それぞれの山を一つひとつ越えていく、その繰り返しですよ。一つの山の頂上に登れば、また下って新しい山を登っていく。山を越えていくのは苦しくて辛いけれど、登るのをやめてしまえばそこで終わり。
技術の伝承、弟子の育成も含めて、目の前は高い山だらけですが、これからも刀剣研師の終わりなき道、山を命ある限り登り続けていきたいですね。
プロフィール
臼木良彦
うすき・よしひこ―昭和31年東京都生まれ。高校卒業後、刀剣研師で人間国宝の藤代松雄氏に入門。60年に独立。平成13年、名刀「粟田口国吉」を研ぎ、最高賞「木屋賞」を受賞。17年「無鑑査」(国内最高峰の刀剣研師に与えられる称号)に認定。東京都江東区無形文化財。双水執流組討腰之廻清漣館館主。
編集後記
国内最高峰の刀剣研師・臼木良彦さんに、自宅兼工房にてお話を伺いました。
特に感動したのは、やはり鎌倉時代の名刀「粟田口国吉」を研いだ時のエピソードです。その存在感、美しさに圧倒されながら、損得勘定抜きに無我夢中で研いだ「粟田口国吉」が最高賞の「木屋賞」を受賞。刀剣研師としての仕事、人生が大きく好転していったといいます。
目先の利益や自分の名誉を越えたものを目指して仕事に取り組む、その心の姿勢が仕事も人生もよりよい方向に導いてくれることを教えられるエピソードです。
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