4 月号ピックアップ記事 /エッセイ
俳誌『ホトトギス』125年の歴史を貫いてきたもの 稲畑廣太郎(ホトトギス主宰)
四季折々の季語を含め、五七五の僅か17文字に情感を詠い上げる俳句。正岡子規・高濱虚子以来の俳句の伝統を受け継ぎ、明治30年から毎月ほぼ休みなく号を重ねてきた雑誌が『ホトトギス』である。125年に及ぶその歩みは苦闘の歴史でもある。虚子の曽孫で同誌主宰・稲畑廣太郎氏に感慨を込めてお話しいただいた。
「春風や闘志いだきて丘に立つ」
高濱虚子
明治7年~昭和34年
(写真=国立国会図書館HP「近代日本人の肖像」より)
虚子は後年、著書の中で「俳句は自然を詠ひ、また、自然を透して生活を詠ひ人生を詠ひ、また、自然によって志を詠ふ文芸である」と述べています
稲畑廣太郎
ホトトギス主宰
おかげさまで本誌は昨年で創刊125年、通算1,500号を世に出すことができました。山あり谷ありの歩みでしたが、子規や虚子の思いを一貫して守ってきたことがよかったと強く感じています。
(写真提供=ホトトギス社)
プロフィール
稲畑廣太郎
いなはた・こうたろう―昭和32年兵庫県生まれ。57年甲南大学卒業後、合資会社ホトトギス社入社。63年『ホトトギス』編集長。平成17年同誌「雑詠」選者および副主宰、25年より主宰。俳人・高濱虚子の曽孫。著書に『曽祖父―虚子の一句』(ふらんす堂)、句集に『半分』(朝日新聞社)などがある。
高濱虚子
たかはま・きょし―明治7年愛媛松山生まれ。本名清。松山中学時代、河東碧梧桐の紹介で正岡子規と出逢い、以後師事。27年上京、31年『ホトトギス』発刊を引き継ぐ。子規以来の「客観写生」の句風を基底に「花鳥諷詠」の理念を提唱した。昭和29年文化勲章、34年永眠。
編集後記
125年続く俳誌『ホトトギス』の苦闘の軌跡、その創刊に携わった正岡子規・高濱虚子が俳句に込めた魂とはいかなるものか。高濱虚子の曽孫で同誌主宰の稲畑廣太郎さんの解説から、人間も天災も自然の一部と捉え心の糧にして謙虚に生きる大切さに気づかされるでしょう。
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