祖国チベットに思いを馳せて 西蔵ツワン(武蔵台病院院長)

西蔵ツワン氏の一家がチベットからインドに亡命したのは1962年。いまから60年前のことである。縁あって日本留学を果たし日本国籍を取得して医師になった西蔵氏は、いま何を思うのだろうか。いまだに中国の統治下にある祖国チベット、そこに住む同胞たちへの思いを交えてお聞きした。[写真は来日したダライ・ラマ法王とカメラに収まる西蔵氏夫妻]

私は利他の心と同時に、夢と希望を持ち続けることが人生ではとても大切だと思います。それもただ頭の中で思い描くのではなく、その時その時の状況で努力、行動していくことです。そうすると誰かが見ていてくれる。これは私の確信なんですよ。

西蔵ツワン
武蔵台病院院長

私が利他を仕事の中心に据えるのは、我われ医療者の大切な役目なのですが、こういう進化した世の中では利他の実践がなかなか難しいところもあります。しかし、私はあくまでも相手の立場に立つことにこだわっています。目の前の患者さんはいろいろな問題を抱えていて、その問題を自分だったらどう判断するのか、自分が患者だったらどうしてほしいのかをいつも考えています。

プロフィール

西蔵ツワン

にしくら・つわん―1952年ネパール国境に近いチベットの商業都市・シガツェに生まれる。62年家族で亡命。ネパール、インドを経て65年に来日。80年埼玉医科大学を卒業。埼玉県内の病院勤務を経て2009年武蔵台病院院長に就任。チベット難民キャンプを訪ねるなど祖国への支援を続けている。


編集後記

西蔵ツワンさんは1962年、10歳の時に家族と共に祖国チベットから亡命し、13歳で来日。刻苦勉励の末に日本国籍を取得し医師になられました。ツワン氏の脳裏から片時も離れないのは祖国チベットと同胞のこと。利他の精神で日々患者さんに向き合う一方、同胞たちのための惜しみない支援活動を続けられています。西蔵さんのお話を通して、人間の本当の幸せとは何かが垣間見えてきます。

2022年3月1日 発行/ 4 月号

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